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銀河に通じる人間の歩き
久しぶりに外に出て冬の街を歩いた。冷たい日陰から日向に出るたびに陽光の温かさが身に染入る。日差しの中を歩きながら考えた。歩くということを考えた。座して考えるのと少し違う感じがした。
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 マゼランとその一行は１５１９年９月２０日、サンルーカル港から５隻の船で西に向かった。１５２２年２月に彼らの生き残りが地球一周の果てに帰港した時、自分達の暦が１日ずれていることに気づいた。太平洋上に想定されている日付変更線というものは現実には存在しない。彼らはいったいいつ暦からずれたのだろう。そもそも暦とは何だろう。（※１）
地球は１年３６５日かけて太陽を１公転するが、銀河の星たちはその間に３６６回地球を巡る。これは逆に言えば地球が銀河恒星面に対して１年間に３６６回自転しているということだ。地球は３６５回自転する間に１回公転もしているので、銀河恒星面に対しては３６５日＋１公転、つまり３６６回自転していることになるのだ。
わずか３６５：３６６の比の差（※２）だが、この差も積もり積もれば無視できなくなる。１年３６５日かけて西周りで地球を１周すれば、１年の間に３６４回日は昇り沈む。つまり１日分減るのである。逆に１年かけて東進して１周すれば、この間に３６６回日の出と日の入りを経験する。この行動は一意で太陽と地球の関係を、銀河恒星面と地球の関係に翻訳しているとも解せる。
地球周長ほぼ４００００kmを３６６で割ると１０９.５kmとなる。つまり１日１０９.５kmペースで地球を移動し続ければ、１年で元の位置に戻るということだ。これを時速に直せば約４.５km（※３）である。これは人間の徒歩のペースにほぼ等しい。乱暴な言い方だが、大地に根を張る植物に対してこの速度で移動できる人間は、銀河恒星面との関係を構築しうると捉えられるだろう。
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久しぶりに歩きながら考えた。きらめくサニーサイドを行き交う人々の笑顔が眩しい。人はこの世にまろび出て這いまわり、立ち上がり歩き出す。地母神より離れ天空を目指す。美しく歩く人、捩れつつ歩く人。立ち尽くす人、座り込む人。みな過去の人間の集合意識でもある重力によって大地とつながり、未来の集合意識に導かれて歩き出す。何処へ？
 （※１）暦（「太陽暦」）そのものの基本が１日、つまり太陽と地球との関係を基本にしていること自体を失念しないこと。月と地球との関係を基本にしている「太陰暦」と「太陽暦」にずれがあるように、「銀河恒星面と地球との関係」との間にもずれはある。これらの間をスムーズにつなげるものはないだろうか。ただしこのパラメータとして実感が伴わないまま、時間単位を原子の振動数や波長の整数倍にするだけのものであれば、それはあまり意味がないだろう。
（※２）地球の平均太陽日→１.００２７３７９１平均恒星日、平均恒星日→０.９９７２６９５７平均太陽日。この２者は逆数の関係になっている。地球の対恒星自転周期→２３時間５６分０４.０９０５秒平均太陽時。つまり地球は太陽との関係である１日２４時間ごとに３分５５秒ずつ銀河恒星面に対してオーバーロードしている。これが１年の間に累積してほぼ１回分の自転になっているのである。
（※３）地球の自転速度（赤道表面）は０.４６５km／s(＝４.６５×１０-1km／s)である。この値は当然ながら上記の時速約４．５km／hのほぼ３６５倍である。つまり逆に言えば地球（赤道表面）は私たちの徒歩速度の３６５倍のスピードで自転しているのである。徒歩が自然な空間移動速度であるとすれば、移動速度に関しては地球の１日が私たちの１年ということでもある。占星術で言う１年１日法や天国の１日は現世の１年という表現、及び１２−６０進法で表現する円の１周を３６０度で表わすことなどを、このような別の角度からも再考できはしないだろうか。
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