 真のコミュニケーションとは「私」と「私以外のもの」との統合のために、「私自身」と「私以外のもの」の探求すべく、情報の交換・共有することであるとも言えるだろう。自分以外を知るためにはまず、自分とは何かを追求しなくてはならない。自分の意志で動かせるものが自分自身だろうか。それにらば肉体の中にある自分の思い通りにならないところは自分自身ではないことになる。肉体と外界の境が私と私以外の界面なのだろうか。それならば気やオーラとして表現されているもの、目に見えないながらも明らかに存在しているものは自分ではなくなってしまう。 自らを中心として十数メートル四方に円盤状に広がるマカバ・フィールドが自分であると言われても、それが実感できなければほとんど意味がない。「私」を突き詰めていけばすべてになり、神も仏もすべての世界も私自身となる。それでは「私以外のもの」とは？ 真のコミュニケーションという表現をするのであれば、これまでコミュニケーションと呼んでいたものは何なのだろう。この文脈に即して言えば、ひとりよがりの王国の主同士が自らの国の世界観を共通の場であると考えて話し合っていたのだ。 ある意味ではそれもまた対等であるが、私たちは自らのひとりよがりの王国の辺境に、国境界面に移動する必要があるだろう。それこそが世界のすべてと思っていた限界の外に、私のひとりよがりの王国以外のひとりよがりの王国との国境があり、そこでこそ２国間の対等なコミュニケーションがなされる。 それにはもちろん相手の国の主もまた国境にまで移動してきている必要がある。薬物や幻覚剤の助けを借りることなく、自らの意志と理性で正気を保ちながらの辺境への旅。もちろんそれは３次元的な遥か遠くにあるのではなく、トポロジー的にすぐ身近にあるのだが。 ひとりよがりの王国を超えて(７) |
