19871205
 猫のなきがらは庭先の土の中
二度と目覚めぬその上辺りに
枯れ葉混じりの冷雨が降り積む
猫よ 猫よ いずこに消えた?
(消えてはいない、出現した事がなかったのだから)
猫よ 猫よ 寒くはないか?
(寒くはない、寒暖は元より幻なのだから)
(おまえなぜ泣く?なぜ涙溢れてる?)
判らない
判らないけど、悲しみの涙ではない
何かとても温かなものが胸を浸す
判っている 判っていると言うのに
ほら、もうすぐ手が届きそうなのに
言葉にならない言葉のように
意識できない意識のように
19871210 デ二ーズで隣に座った女性の、オーダーの仕方や注文の品を受け取る時のあの心のこもった丁寧さ。また、帰り道で車をバックさせて、彼の行く手をしばし遮ってしまったドライバーの、「すみません」の一言に込められているあの声の響き。共に予想していなかった細やかさが、おそらく無作為の内に溢れ出ているのであろう事に対する新鮮な驚き。より注意深くある事。そのためにはどうすればいいのかおまえはもう半ば知っている!
19871217-1 朝公園の橋を渡る。昨日降った雪が夜中に凍り、そして朝日の中で水面から湯気となって立ち昇っている。冷暖におかまいなしの噴水の左肩に、その湯気が虹色に霞となって掛っている，冷気が肌を刺すが「彼」はむしろ心地好く感じる。Good
morning！
19871217-2 日々刻々行ずるも良し、堕するも良し。二者に区別なし、遺恨なし。二者と見ず二面と見る。
19871217-3 夢は皆自分で作っている。然り!そして同様の義で現実も又自分で作っている。
19871217-4 物理では救われない。数学でも救われない。哲学でも救われない。宗教でも救われない。「彼」自身の内からほとばしり出てくるものからでしか、「彼」は救われない。「彼」は未来の「彼」にのみ救われる。そして未来の「彼」とはこの瞬間瞬間のこの今に生まれる。何も確かなものがないと感じる時、「彼」は瞬間の切っ先にいる。
吉祥寺百景（０９１）19871205〜19871217
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