（００４９）ひとごみに流されて…と１５３
１５３のアンソロジー＜１１＞
店内にはいつのまにか、荒井由美の古い古い曲『卒業写真』がＢＧＭで流れていた。もう２０数年前、私は彼女の生家である荒井呉服店のある八王子に住んでいたことがある。この歌のサビの部分で「ひとごみに流されて、変わっていく私を、あなたは時々、遠くで叱って。」という歌詞があるが、当時の私はこの「ひとごみ」より「ひとなみ」の方が、歌詞として美しいのではないかと考えていた。 「ヒトゴミが１５３であるならば、ヒトナミは１７３だろうか。１７５センチの私は２センチ多いけど…」などと何のロジックもないまま、こんなことにまで数を当てはめて考えている自分に気がついて苦笑する。 ところでもし…と私は自問した。もしＣＨＡＣＯがもう少しだけ背が高くて、１６２センチだったとしたら、私は何といっていただろう。「黄金分割比の１．６１８…に漸近している良い数字だよ。その背の高さは基本単位１メートルに対してちょうど黄金比φの割合なんだ｡いやあ素晴らしい｡｣などと言ったのだろうか。……いやそれは、…それはまた別の話だ。ＣＨＡＣＯは今どこで何をしているのだろう。
１５３のアンソロジー(１１）
店内にはいつのまにか、荒井由美の古い古い曲『卒業写真』がＢＧＭで流れていた。もう２０数年前、私は彼女の生家である荒井呉服店のある八王子に住んでいたことがある。この歌のサビの部分で「ひとごみに流されて、変わっていく私を、あなたは時々、遠くで叱って。」という歌詞があるが、当時の私はこの「ひとごみ」より「ひとなみ」の方が、歌詞として美しいのではないかと考えていた。