(0024)無意識に数を数えること−1

 小学5年生の時、先生がクラス全員に眼を閉じさせて、頭の中で1分がたったと思ったら目を開けなさいと言った。声を出さずに頭の中で60秒を数えたのだが、ほとんど全員が1分より早く目を開けた。子供の1秒は大人より早く刻まれる。

 その中でただ1人ぴったりの生徒がいた。彼女はずっとピアノを習っていて、絶対音感だけでなく、メトロノームを体の中で1分60回で動かす事も出来たのだ。1分に100を刻みなさいといわれてもできたに違いない。

 ビートルズのドラマーだったリンゴ・スターは、メンバーと曲作りをしながらリズムを刻んでいたのだが、用事があって曲を口ずさみながら部屋の外に出た。随分してから戻ってきた彼のリズムは部屋の内で続いていた曲とピッタリだった。

 インベーダーゲームの出始めの頃、名古屋撃ちと称するものがあった。決まった数ごとに出てくる画面奥のUFOを撃墜すると高得点が選られるのだ。習得してくるうちに無意識に数を数えていている自分がいることにやがて気がづいた。

 多面体制作にはまっていた頃、面白い建物の窓の数や古代美術品の首輪の宝石の数など、視野の中で興味をひくものを構成している数を無意識に数える癖がある自分を知った。はっと気づくと全部で54個であるなどと分かるのだ。

 湘南海岸で一夏波の数を数えていた時期があった。打ち寄せる波は毎分18回で、人間の呼吸数と同じであるという説を確かめようとしたのだ。波の数は10〜11回だったが、それを数える私の呼吸数もまたそれと同じ数であった。

非・人非人日記(4)

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