（０１９６）雨の中の噴水と水鳥の美しさ

19880325-3　立ち木の存在感

　昨日、西武コピーセンターで、上がった「明珠」の原稿をコピーしている時、窓の外に見た並木の美しさ。陽光の中で風に舞う若葉の輝きとその影。後でその道を歩いたが、ー本一本を見上げると、その枝振りや全体の印象が皆違い、しかも皆素晴らしい存在であった。ー本一本を写真に撮るなり描くなりしたくなる程、それがまさにそこにたがわずあるというあの感じ。

　ぺンで植物を書こうと考えはじめて、その例を見たりして一木の立ち木の全体感を捉える目で見ると、道すがらの木々が皆そのまま完全である事が解る。それにしても一本一本の樹木は何と美しくバランス良く立っている事だろう。どの角度から見てもそのバランスが重力に対して、またまわりのすべてに対して、それしかないように確かに見える事か。これこそが自然である。それにしても春だ。

19880331-1　思考の未解決な煮凍りは、顔にへばり付き表情を硬くするにかわのようだ。

19880331-2　雨の中で見た噴水の美しさ。かってその無意味さが空しく悲しいと感じられたが、その意味を超えた美しさ、雨が降ろうが晴れようが、人がナンセンスだと思おうが、無心に吹き上げるその噴水がとても美しく思えた。それすらもまた幻ではあると知りつつも。そして冷雨の中で見た、水鳥達の船団の美しさ。人が冷たいと感じながらそれを見ようと、朝早くて見る人がいなくても、０度に近い水の中をただ進んでいるあの水鳥達の鮮烈さを。

吉祥寺百景（０９７）19880325,19880331