0187night

19871127-2　とにかく何かが―つ終わった。

19871127-3　猫の死は何も教えない。ただ「彼」が学ぶのだ。学ぶも学ばないも自由なればこそ。猫の死が何かを教えていると決める事もまた自由なのだ。それは「彼」が学ぼうと決める事であり、意味(そしてそれ以上の何か)をそれに付加するという形で求める姿なのだ。

19871127-4　あの猫の死は失恋に似ている。最初は実感が湧かず、段々と体の内側からそれが染み出して来る。ただ今度は自分を憐れむ事は無い。Yes! Yes! Yes!だ。

19871127-5　そして「彼」はニュートラルになる。意識上何の先入観もないということは、全くの無防備であるということだ。かつて生きていくためにあった先入観的知識は、無意識に沈み込んでいる。現実はみな、驚きに満ちている。それはよし。ではさあ、味わおう。さあ詠おう。

19871127-6　埋葬…。見えなくするという事は何時でも望む時観えるようにする事である。

19871127-7　鎮魂とは死者の魂を鎮める事ではなく、生者の(鎮魂する者の)魂の過剰振動／衝動を鎮める事である。

19871127-8　葬式とは死者のボディを用い、死者の魂という想定物を媒介/触媒とした、生者のための儀式である。

19871127-9　かって藤原さんは死とは電磁石のコイルの中からその中心の棒がスコンと抜け落ちる事だと言った。さよなら、猫！

吉祥寺百景（０８８）19871127