(0109)愚か者としての幸せな彼

(19841223-2)
   ここにもひとり愚か者がいる
   公園のベンチできらめく水面を見つめている
   日差しを楽しみ、木立ちの匂いをかぎ
   風を味わい、ざわめきを喜んでいる
   「彼」は決してサラリーマンにはなれない
   愛し守るべき家族も恋人もない
   好きな時眠り、好きな時食べる
   望み通り歩き、望み通り話す
   自由の重みから逃げ出しはしない
   強制された生き方なんて考えられない
   もし強制されるとしたら死んだ時だけで
   死体は語らずそして強制されない
   ホルモンかなにかの異常分泌から
   至高体験が「彼」を俗世間から剥離させてしまった


(19841223-3)
   己の内に鳴り響く、今まで誰も耳にしたことのない音楽
   それは色であり、形であり、匂いである

(19841223-4)
   正しいものはどこにもいない
   正しいと信じている者がそこにいるだけだ

(19850201-1)
   新聞…呆けた知性の垂れ流す活字のよだれ。

吉祥寺百景(010)19841223

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