（C009）

■１■一見複雑そうなマヤの暦は、その仕組みを理解するとその合理性とホロ
ニックな構造が見て取れる。「長期暦」とは過去のある日を起点にして数える
暦だ。その起点の日に関しては様々な説があるが、現在もっとも有力な説によ
ると西暦のBC 3113年８月13日（BC 3114年８月11日節もある）となっている。

■２■この長期暦は惑星歳差運動周期として知られている約2,6000年の１／５
すなわち約5200年弱の間続くのだが、これを１つのサイクルとして文明興亡周
期仮説なるものも存在する。このマヤの暦が刻み始める頃に、遥かに離れた複
数の地で位相を揃えたかのように、新しい技術の新しい局面が始まっている。

　　　　　　★代々のエジプト王朝(無印は紀元前)
　　　　　　　《王朝》 　　《時代》 　　　　　　　　　　　《年代》　
　　　　　　第１〜２　初期王朝時代　　　　　　　3100〜2686
　　　　　　第３〜６　古王朝時代　　　　　　　　2686〜2181
　　　　　　第７〜10　第１中間期　　　　　　　　2181〜2133
　　　　　　第11〜12　中王朝時代　　　　　　　　2133〜1786
　　　　　　第13〜17　第２中間期　　　　　　　　1786〜1567
　　　　　　第18〜20　新王朝時代　　　　　　　　1567〜1080
　　　　　　第21〜25　後期新王朝時代(第3中間期) 1080〜664
　　　　　　第26 　　 サイス時代　　　　　 　　 664〜525
　　　　　　第27〜31　末期王朝時代 　　　　 　　525〜332
　　　　　　　 　　　 プトレマイオス時代　　　　332〜30
　　　　　　　- 　　　ローマ支配時代 　　　 　　30〜AD642
　　　　　　　-　　　 アラブ時代 　　　　　　　 AD642〜現在

■３■定説では今から約5200年前つまりBC3100年頃にエジプトでは第１王朝が
始まった。BC3113年という説もあるが、初代ファラオであるメネスが上下エジ
プトを統一して最初の王朝を作った。以後ファラオの統治はBC 332年まで連綿
と続き、この期間に王朝は第31王朝までを数え､そして君主は390人に及んだ。



■４■円形土塁と堀の囲いからなるブリテン島のストーンヘンジの複合体は、
2000年間に渡り数段階に分けて建設されたことが分かっている。最新式の補正
を施して行った放射線炭素測定による時代決定法によれば、このストーンヘン
ジの最初の建設は紀元前3000年頃に始められたであろうという結果となった。

■５■バビロニアでは紀元前3100年頃に１対１対応の数記法と60進法が確定し
たという説が有力である。ほぼ紀元前3100年頃、つまり約5200年前にマヤ、エ
ジプト、バビロニア、ケルト、そしてその他の地域でも、それぞれ地理的に離
れている場所で暦・王朝・数記法・建設が位相を揃えて開始されでいるのだ。

■６■このマヤの長期暦最後の日が2012年12月21日である。長期暦は５つの計
時単位からなる。基本単位は１日＝１キンで20集まって１ウィナルとなり、18
ウィナルで１トゥンとなる。20トゥンが１カトゥンになり、20カトゥンで１バ
クトゥンになる。そして13バクトゥンが 1872000日で長期暦の１周期である。



■７■この13バクトゥン1872000日を１年の日数365.2422日で割ると､5200年弱
と表現していた期間が実は5125年余りであることが分かる。トゥンだけが20で
なく18で360となっているが、360日は中国でもエジプトでもバビロニアでも用
いていた。360は日数の１年365日以外の諸相とも深い関係を有している数だ。

　　　　　　　　１３カトゥン ＝マヤ短期計算法全体日数 （２０^２×１８×１３＝９３６００日）約256年
　　　　　　　１３バクトゥン＝マヤ長期計算法全体日数 （２０^３×１８×１３＝１８７２０００日）約5125年

■８■上表の上から５段までが長期暦に用いる５つの計時単位である。また短
期暦は93600日、約256年のサイクルであるが、この周期はちょうど産業革命以
後であり、経済システムと時間の機械化が増大してきたタイムスパンだ。また
256年は２^８でもある｡マヤの計時法の中にはさらに先の単位もまた存在する。

■９■上表の６段目は１ビクトゥンで約7885年、７段目は１カラブトゥンで約
15万7703年､８段目は１キンチルトゥンで約315万4071年である。考古学者は日
数が刻印された大きな石碑をステラと呼ぶ。ホンジョラスはキリグアの「ステ
ラＤ」には４億1168万3935年前と８億7360万年前の日付が刻み込まれている。


『メキシコの旅』より借用、部分。

■10■また「ステラＦ」には11億9360万年前の日付が記されている。さらには
メカム文字という象形文字は 256億年前の日付が、そしてムルクマル文字に至
っては10兆2400億年前の日付が残されている。リニアルな時間感覚ではナンセ
ンスな、これほど長い単位のサイクルでマヤ人は一体何を見ていたのだろう。