秩序パラメータは、究極的には思考そのものである。―――ヘルマン・ハーケン

　まずは上のプラトン立体のデータ表を見ていただこう。正４面体、正６面体、正８面体、正１２面体、正２０面体の面の数は名前の通りそれぞれ４，６，８，１２，２０でその和は５０。そして同じく点の数は４，８，６，２０，１２でその和も５０。５つの立体の点数および５つの立体の面数の１０の要素を合わせると完全なる数１００となる。正４面体の面（もしくは点）の数である４の３角数は、すでに見た通り１＋２＋３＋４＝１０である。１０もまた１０進法の中での完全なる数であり、そのホロンが５つのプラトン立体の面と点の数１００となっているのだ。ここにも精神構造と３次元的世界認識と１０進法との深い繋がりが垣間見れる。

　１００は１０の平方の数であるが、ペンターブを構成する１から４までの３乗数の和もまた（１³＋２³＋３³＋４³＝１＋８＋２７＋６４＝）１００である。将棋のマス目は９×９の８１マスだが、これを構成する線の交点は全部で１００個ある。また人間の脳の認識において１００Ｈｚを境に９９Ｈｚ以下は人類の共通部に、そして１００Ｈｚ以上は音声・言語領域にと明確に２分されている（※１）。なおニワトリの卵は１００時間を超えるとその形態が急速に安定する。生物が海から陸へ上がるドラマが、発生からこの前後２４時間足らずの間に再現されるのである（※２）。深草少将の百日通い。平安時代の歌人小野小町に言い寄った深草少将（ふかくさのしょうじょう）は「自分の元に１００日通ってきたら、あなたの愛を受け入れよう」と言われて９９夜通いつめたが、いよいよ願いの叶う１００日目に凍死してしまった。１００はヘレニズム世界では「完全な善」とされており、成就の数として考えられている。１００点満点や１００％や水の沸点の１００度Ｃなど、１０進法を用いて生活している私たちには、１００はあまりにも馴染みの数である。

　この５つのプラトン立体のうち、双対立体関係である＜正６面体−正８面体＞及び＜正１２面体−正２０面体＞の４立体と、自分自身と双対の関係にある正４面体とは一線を画す見方も存在する。ここで正４面体のみを別枠に扱い、残る４立体の面の総数を考えると４６である。また面と点の合計を考えれば９２となる。この４６は人間の染色体の数である。また元素周期律表上では原子番号４６はＰｄ：パラジウムであり、これより小さい原子番号の元素は核融合傾向が大きく、これより大きい元素は核分裂傾向が大きい。９２とは自然界に存在する最大の元素であるウラニウムの原子番号である。また日本語５０音図の中で現在大方の日本人が認識できる音は、ヤ行のイとエ、ワ行のヰ、ウ、ヱを除き、ンを入れた４６文字である。これも音と文字合わせると９２となる。

　また逆に２つの正４面体とも数に入れて、３組の双対関係にある６つの立体として考えると面の数もしくは点の数は５４となる。５４は３の３乗である２７の２倍だが、この面と点の総数は１０８となる。この１００：１０８の比率は金星の公転周期２２５日と自転周期２４３日の比であり、また月の自転・公転周期２７．３日と朔望周期２９．５日の比でもあるということはＺＯＮＥ−１(１２９)で見た。言うまでもなく１０８は仏教で言う煩悩の数である。この煩悩を除去して新年を迎えるために、除夜の鐘は１０８回鳴らされるのだ。なぜか野球のボールの縫い目は１０８となっているが、これは煩悩と合わせたわけではないだろう。四苦八苦するという表現があるが、実はこの四苦八苦も仏教用語である。四苦とは生・老・病・死であり、これに愛別離苦・怨憎会苦・求不獲苦・五陰盛苦を加えたものが八苦であるが、四苦（４Ｘ９＝３６）と八苦（８Ｘ９＝７２）を合わせて３６＋７２＝１０８であるというのは、むしろ数のダジャレとしてとらえるべきだろうか。薔薇十字会は１０８年毎に社会に影響を及ぼすべく行動をとるという。またカンボジアのアンコールワットにある、門から続く道の両側に立つ巨石像の総数は１０８体ある。１０８度といえば正５角形の内角であり、正８角形の内角の和は１０８０度である。また１０８の２倍は２１６だが、この数は６の３乗である。

（※１）角田忠信「右脳と左脳」。　（※２）三木成夫「胎児の世界」。