■「メトン周期」とは月の朔望と季節の一致が循環する周期のことで、B.C.433年にアテナイの数学者メトン（Meton）が発見した。例えば太陽暦の１月１日が満月であれば、19年後の１月１日も同時刻に同じ位置で満月になるということで、「19太陽年は235朔望月にほぼ等しい」ということでもある。

■メトンはこの周期を6940日として、19年間に７回の閏月を入れればよいと提唱した。つまり6940日＝125×30日＋110×29日だから19年間に125回の大の月と110回の小の月を配置すればよいと考えたのである。これは中国では「章」と呼ばれたものに相当する、大陰太陽暦の基礎である（※１）｡

　　　(1)19太陽年 365.24194×19年＝6939.601688日
　　　(2)235朔望月29.530589×235月＝6939.688415日

■この２者はわずか0.09日ほどだ。しかしこの微細な端数差が蓄積されていくと、200年で約１日分ずれてくる。カリポスは１太陽年を365.25日として計算した。すると19年×４の76年で27759日となって４メトン周期より１日少なくなる。これを235朔望月×４の940朔望月27759日と一致させた。
　

■喜寿の誕生日に月を見ると生まれた時と同じ月が見えると言われる。「喜」の字は草書体だと十七の上に七が付いたような形から、77歳を喜寿と呼ぶようになった。数えの77歳は満の76年だ。19×４＝76。つまりこれはメトン周期を修正した「76太陽年＝940朔望月＝27759日」のカリポス周期のことだ。

■天動説を含む古代の天文学の体系を成立させ、現代につながる46星座を決定したヒッパルコスは、このカリポス周期をさらに４倍して１日引き、304年＝3760月＝111035日とした。304＝76×４＝19×４×４であり、3760＝940×4＝235×４×４でもあるということだ。気も遠くなるような厳密さの追求である。

■さてこの19年に対して、20年を挟んで21年に注目してみよう。天王星の公転周期は30688.88日だが、その１／４の7872.095日は地球の21年7670.0862日とほぼ同じである。この21年はまたほぼぴったり260朔望周期(7870日)であり、さらに13の月の暦の１ヶ月28日の274ヶ月(7672日)でもある。

　　　(1) 7672.095日　⇒天王星の１／４公転周期
　　　(2) 7670.08074日＝21太陽年 365.24194×21年
　　　(3) 7677.95314日＝260朔望月 29.530589×260月
　　　(4) 7672日　　　＝274ヶ月 28×274ヶ月
　　　(5) 7670日　　　＝29.5ツォルキン 29.5×260



■マヤの神聖暦ツォルキンは260日で１周期だが、この21年(天王星の１／４公転周期)の期間は260朔望周期である｡つまり１ツォルキンと天王星の１／４公転周期とは１：29.5である。これは天王星の１公転周期は1040朔望周期、13の月の暦の1096ヶ月、118ツォルキンに等しいということだ(※2)｡

　　　(1) 30688.380日　⇒天王星の１公転周期
　　　(1) 30680.32296日＝84太陽年 365.24194×84年
　　　(2) 30711.81256日＝1080朔望月 29.530589×1080月
　　　(3) 30688日　　　＝1096ヶ月 28×274ヶ月
　 　 (4) 30680日　　　＝118ツォルキン 118×260

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(※1)冥王星の公転周期90505.556日は247.796年である。
　　　19太陽年(6939.6017日)は247.843４ヶ月（13の月の暦の）である。
(※2)これはまた地球の１日と月の４朔望周期の比率とも等しい。

GUIDE 19-004　メトン周期の19年