2011.12.11 Sunday　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

■昨夜は多くの人たちが皆既月食を観測or見物していたので、私は敢えてその時間にその物理的な天体現象を見ずに過ごした。何をしていたのかと言うと、自らの意識の中の皆既日食の間の微妙な揺れや感覚の変化を観測・見物していたのだ。へそ曲がりと言われようが意識的に多くの人と異なるのは悪くない。

■決して他者の興味や行動を軽んじたり非難したりするのではなく、かといってその現象を軽んじてぼーっとして過ごすのでもなく、自分が意識的に自分にしかできないこと（自分の意識の微細な変化の自覚は他者にはもちろんできないわけだが）をした理由は自分でも良く分からない。ただ実に興味深かった。

■さて、大長編スペクタクルな夢のクラスマックスあたりで、ベッドの周りを鳴きながら回るみかんの声でこちら側の現実に引き剥がされる。まだ４時だよ、おい。鳴き止まないのでしかたなく居間に移動する。デルピーも連動して棚の上から降りてくる。寝たのが２時間前だから今朝は特に眠くて辛いなあ。

　　　

■居間にあるピアノの下で、みかんがビニール袋にすりすりしている。中には晩秋にベランダのプランターを整理した時、捨てるに忍びなかったので摘んだ多くのキャットニップの葉が詰めてある。昨日掃除してしまい忘れていたこの「猫が噛む草」と言う意味名の草に、マタタビ同様に陶酔状態でラリってる。

■今朝は窓も玄関のドアも濡れて曇ってはない。どうも前の晩遅くに風呂に入ると湿気が室内まで流れ出て、それが結露するらしい。41分に隣りマンション前に到着した配達バイクは、45分に出発したのが窓越しに見えた。この定点観測も長いなあ。50分、我が家の玄関前に配達員さん到達だ。立ちあがるみかん。

■配達員さん、エレベーターから「よいしょっ」と言いながら出て、「おはよう、おりこうさんだねえ、うふふふ…」と猫に話しかけてから走り去る。無言で後ろ姿を見送るみかん。新聞を回収して居間に移動する。うわ、明日の朝刊は休みかよ。猫には休刊日という概念がないんだよなあ。さあ、どうしよう？

2011.12.12 Monday　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　

■今日は新聞休刊日。猫がいつも通り騒ぎ始めていたけれど、シカトして眠る。なんと４か月ぶりくらいのゆっくり朝寝（８時までだけれど）。100日くらい毎朝４時ころ起きていたわけだ。それはそれで意味もなくすっげーかも。それにしても日付を数字だけで書くと、０，１，２だけの３進法的表記が多いな。

■今日は愚妻はお休みの日なので、昼過ぎから日進の義妹宅にまた出向いて行った。例の拾われて看病され中の猫エリチャベス略してチョビの様子を見るためだ。私も行ってみんなとも会いたいけれど、行くと半日潰れてしまうからなあ。元気になったのだろうか、茶トラの仔猫。うちの猫は日がな日向ぼっこ。

2011.12.13 Tuesday　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　

■午前４時15分、みかんが鳴いて私を起こす。昨夜から導入した新しい横広布団のおかげでか、温かく眠れた。もっとも寝たのは深夜風呂に小一時間ゆっくり浸かってからの午前１時だが。１日新聞休刊日を挟むだけで新鮮な感じがする。20分、デルピエ郎が猫ハイウェイを伝って冷蔵庫から降りてくる。

■35分、居間で遠くのかすかな「キキ…」という音に気付いて、窓から覗くと隣りのマンション下に配達のバイクが停まっていた。夕べ読んだ『ショックドクトリン』の中で、米国ＣＩＡの長きに渡る心身への過酷な拷問に対して、毎日遠くでジェット機が通過する微かな音で正気を保ったという話を思い出した。

■38分に窓下で発進したバイクが、43分に当マンション下に到着の音。大体いつも４〜５分かかっているわけだ。玄関ドアを猫の頭分開けた隙間から、「３↑」ボタンが見えた。もうすぐに配達が来る。ここでデルピー、突然居間に逃亡する。おまえがドタキャンかよ。強制はできないもののあっけにとられる私。

　　　

■44分、５階のエレベーターが開く。隙間越しにみかんに対して「おはよう…おりこうさんだねえ…」と声をかけてくれるおじさん。大人しく座っているみかん、階段を駆け下りて行く後ろ姿に対して、突然大声でウニャーオゥ〜！と鳴く。何なの、挨拶なの？近所を気にしながら新聞を取りだして居間に戻る。

■夕べ与えて残された猫缶は、捨てずに下の野良に上げることに決定。下の野良猫用に買って来ていたフリスキーのカリカリ大袋を取り出したら、デルピーが鼻を突っ込んできたので与えてみる。なんだ、安いカリカリでも喰うじゃん。餌を持って階下に降り、外の茂みの中の白いトレイの上に餌を置いてきた。

■白黒のチビ猫が遠くの茂みで動いていたのを見た気がする。通りの先の猫舞台に黒猫が見えた。餌はいらないのかなと見ていると近づいてきたので、ポケットの中の別のカリカリを舞台の袖に一握り与える。夕べ愚妻がうちの車のドアに付けられていたと言っていた引っ掻き傷を見てみた。でかくて深い傷だ。

　　　

■ここ３日程の間に駐車場に停めてあるところをやられたようだ。そんな話は近所ではなかったので、私は車止めの後ろにしょっちゅう猫餌をあげているところを見ていた猫嫌いの者が、腹いせに夜中にでもやったのではないかと踏んでいる。もちろんこのままで済ますつもりはないが、不快で陰湿な行為である。


2011.12.14 Wednesday　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　

■４時10分、本棚の上でみかんがむっくり起き上がり、降りて来てベッドの周りを「わぉ〜う、わぉ〜う」と鳴きながら徘徊する。仕方なく居間に移動する。部屋は昨夜の暖房の残温で結構暖かい。デルピーは棚の上の猫ハウスで爆睡し続けているので、手を伸ばしてツンツンいじったら25分に床に降りて来た。

■34分に隣りのマンション横に配達のバイクが到着し、37分に配達終了して発進した。玄関ドアをセットすると、隙間から外を覗くみかんの鳴き声が「わぉわ〜おぅ、わぉわ〜おぅ」という違うパターンになることに今更ながら気付いた。43分、エレベーターが上昇してきて開く。くるりと尻を向けるデルピー。

■「おはよう、おりこうだねぇ、んふふ…」と話しかけるとすぐに次の配達に向かう配達員のおじさん。見慣れたいつもの光景だよなあ、もう。即時撤収して、居間で猫缶を開いてやる。先日買い込んできた同じシリーズの猫缶にどうもデルピーが飽きたらしいので、昨日購入してきた別のを開缶してあげる。

　　　

■昨日の夕方は警察に、車のドアを作為的に傷つけられた現場検証をするために来てもらった。寒空の下で指紋取りや近所の聞き込みなど、思っていたよりしっかり対応してくれる警察官にちょっと好意を抱く。カーナビや車のパーツを盗む事件とは異なり、怨恨や愉快犯の仕業と思われる。泣き寝入りはせんよ。

■それにしても現場で調書取りしている夕暮れ時に、いつもの黒猫（メッシではなくピケと命名したヤツ）だけでなく、先日見たチビのサビ猫（※）まで植え込みの中をチョロチョロしていたので、ちょちとハラハラした。藪の中で与えた餌をチビ猫が食べるのをピケがじっと見ていたな。親なのかもしれない。

（※）基本的に突然変異種で、遺伝子の関係で全てメス（厳密には、黒と茶もしくは赤が同時に発色するのはメスだけ）。人によって好き嫌いが別れるが、多くは澄んだ声で鳴くと言われている。

　　　

■アフリカなどの野生動物に対して人間は極力直接関与しないという基本ルールや、ＳＦなどで異なる時代や別の星の世界に対しては直接関わらないというような鉄則が想定されたりしている。しかし私はそんなものに関わらない。乱獲や殺傷はもちろん問題外だが、責任と自覚と気概を持って野良猫に餌をやる。

■実際に安易に環境や自然に手をかけると、取り返しのつかない事態に発展することもある。しかし眼前の在り様や存在物に対して無関係の自分でいるという科学的スタンスは、基本的に日本古来の世界に対する捉え方とは異なっている。自分もまた分かちがたき全ての一部なのだから。猫も我なり。我も猫なり。


2011.12.15 Thursday

　　　

■デルピーがベッド横で鳴いているのが聞こえた。２時過ぎ頃かと思いつつ時計を見る。４時35分だった。慌てて起きて窓の人を見ると、隣りのマンション横にはバイクはもういない。本棚の上のみかんを軽く突っついてから玄関に急ぐ。新聞がまだ配達されていないのを確認しつつ、急いでドアに隙間を作る。

■すぐに階表示ボタンがエレベーターが３階から上昇中であることを示し始める。みかんはドアの隙間から覗いているがデルピーがいない。居間に戻ってデルピーを抱き上げ、玄関のたたきに放す。ほぼ同時にエレベーターが開く。新聞が配達され、「おはよう…いい子だね」との声がする。あれ、少し控え目？

■頭の一部がまだ眠ったまま、洗面所のドアの裏で「あれ〜、ひょっとしてこっちがバタバタしているのが分かられちゃったかな？」などと思う。居間に戻っていなば食品の「焼きかつお」を与える。これは大人気でぺろ喰い。それにしても昨日はサントス、今日はバルサが居ながらにして見られる日本の幸せ。


2011.12.16 Friday

　　　

■午前４時５分、デルピーに起こされて居間に移動する。今日は30分にもう隣りのマンション下から新聞配達のバイクが発車し、35分にはもう当家の玄関先に到着した。少し落ち着かない猫たちを玄関ドアの隙間に導く。「おはよう…おりこうさんだねえ」といつもの言葉を猫にかけて、足早に去る配達員さん。

■寒さや重なる睡眠不足のせいでか、体がちょっとしんどいかな。猫のためでも、配達員さんのためでも、自己満足のためでもないとしたら、このルーティーンワークに堕しそうな行事は何のためなのかと自問する。そこに愛情のようなものが欠落した時点で意味がなくなる。もう少し思いやりを自覚したい。

■雨の日も風の日も…と似て、調子のいい日も悪い日もそれを為して良かったと思えるように目覚めたいものだ。体が凝ってバリバリだ。おそらく心も知らぬうちに強張っているのだろう。年末の大掃除もしなくてはならないし。猫はそれぞれのねぐらに引き籠った。私ももう少しだけ二度寝に潜り込もうかな。


2011.12.17 Saturday

　　　

■猫々朝日記。午前４時５分、みかんに鳴き倒されて居間に移動する。気温差で曇る窓。40分に隣りのマンション下に到着した配達バイクは45分にそこを出て、50分には当マンションの玄関前に到着する。エレベーターが３階で止まっているなのは、深夜まで営業の「なんや」の店長さんが帰宅するかららしい。

■猫々朝日記。エレベーターが５階まで上がってくる。「おはよう、おりこうさん、…んふふ」と配達員さんが猫に声をかける。もう慣れたとはいえ、いつも何で朝だけ玄関が少し開いているのか不思議に思っているだろうなあ。猫２匹は早々に撤収だ。居間はパネルヒーターで温かい。おとなしくなるみかん。

■猫々朝日記。いなばのとろかつおスープタイプを開けて半分ずつ与える。そういえば昨日は山梨から里帰りしていたたかしっち氏＆奥さんが遊びに来てくれたのだが、２匹の猫はかなり当たり前のように馴染んで傍にいたなあ。来客があると部屋の掃除ができるのだが、１日たてばほぼ元の黙阿弥に。なぜ…？


2011.12.18 Sunday

　　　

■猫々朝日記。午前４時10分、みかんがベッド横の本棚の上でむっくり起きると、床に降りて来て無言のまま居間に移動。それを見ているということは、私もこの時間に目が覚めているということだ。後を追って居間に行く。15分、居間の棚の上に置いてある猫ハウスからデルピーが起き出してカーペットの上に。

■猫々朝日記。35分に隣りのマンションに停車中のバイクが38分にＵターン発進するのを、抱き上げたみかんと共に窓越しに見る。玄関ドアに隙間を開けて準備完了。２匹とも玄関で待っていたが、43分に配達員さんが乗るエレベーターが開く直前デルピーは遁走。みかんは目を合わせた途端全力ダッシュ。

　　　

■猫々朝日記。猫の気配を感じて「ん？おはよぅ…」声をかけくれた時はもう猫どもは居間のこたつの下に。思い通りにはならない時は先ず問題にすべきは思いそのものか。もう興味がなくなって来たのか？今日だけの気まぐれか？顔を覗き込む２匹にＡＩＸＩＡ純缶しらす入りまぐろゼリータイプを半分ずつ。

■猫々朝日記。やらせっぽい不自然なのか？自然とは何か？早起きがしんどくて、起きしなは早々に直そうと思っていたけれど、近所の野良猫たちが気になって結局着替えて外へ。焼いたサバの残りとカリカリを混ぜて猫茂みに置いてきた。さすがに誰もいないか。別の所に別の黒猫がいたのでカリカリを供置。


2011.12.19 Monday

　　　

■猫々朝日記。午前４時25分、時計を見て慌てて飛び起きる。猫２匹が２〜３時頃に入れ替わり立ち替わり、ベッドの中に潜り込んだり布団の上で騒いだりしていて良く眠れない時間があったからだが、猫は本棚の上とベッドの上で丸くなって眠り続けていた。隣りのマンション横には配達バイクが見えない。

■猫々朝日記。居間は猫の追いかけっこの跡だろう、カーペットが捲れ上がっていた。先ず玄関のドアを少しだけ開けて居間に戻る。みかんが起きて来た。ベッドの上でもたもたしているデルピーを抱き上げて居間の座布団の上に置く。さてそろそろ隣りにバイクが来る頃かと思っていると、玄関で音がした。

■猫々朝日記。し、しまったぁ〜、あれは新聞が新聞受けに入れられた音だ。猫は居間にいるのだからもちろん玄関先にはおらず、配達員さんは無言で去って行った。猫に押されるように新聞を取りに行く。おじさん御免。久しぶりの不手際に何かプチ負け犬気分で、猫には「海缶かつおとまぐろ」を献上する。


2011.12.20 Tuesday

　　　

■猫々朝日記。午前４時ちょうど、ゆっくり起きて居間に移動。昨日の昼はたっぷり昼寝し、早寝もしたので、今朝は余裕がある。20分から隣りのマンション下に配達バイクが来ていないか、見逃さないようにまめにチェックする。隣りのマンションは外壁工事が終わってすっぽり全体を覆ったカバーが取れた。

■猫々朝日記。25分、30分、35分…、配達バイクは姿を表さない。今日はいつもより遅いのかな？猫とパネルヒーターにあたっていると、38分、今日はまだドアを開けていない玄関でカタンと音がした。新聞が来た音だ。まだバイクの姿見てないよね、今朝。ええーっ、ひょっとして配達ルート変わったとか？

　　　

■猫々朝日記。新聞を回収しながら考えた。作戦は間違っていないし、バイクチェックも抜かりはない。なら昨日今日といつもの隣りにはマンション横にバイクが停車していないけれど、新聞は来たということだ。新たな謎の発生だ！ポカンとしている猫。純缶まぐろあらけずりを与える。汁しか舐めないし。

■猫々朝日記。明日は時間になったらエレベーターの階表示ボタンを見ながらタイミングを合わせてみよう。それも失敗したら、いよいよ猫々朝日記そのものの存続の危機である。いや、考え方によっては止める好機でもあるのだが。それにしても配達ルートの確認や猫の早起き習慣変更が可能なのか悩むなあ。