2011.11.01 Tuesday　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

■猫々朝日記。ベッドの下に置いてある時計を見る。40分。時間だ。起きるべし。窓から隣のマンション入口を覗く。バイクは停まっていない。ひょっとしてもうそこを出た？みかんは早くも台所のドアノブに伸びあがって開けてくれのポーズだ。玄関ドアに隙間を作り、はやるみかんを鳴かせまいとなだめつつ待つ。じっと待つ。

■猫々朝日記。…はて、全然マンション下にバイクが到達した音もしないし、エレベーターも動かない。50分…55分…。あれ、今日は新聞休刊日だったっけ？居間に戻って昨日の新聞を確かめる。そんな告知はないし。またもや未知なる不確定要素勃発なのか？玄関に戻る途中、ちらりと居間の時計を見る。４時。…え？まだ４時？

■猫々朝日記。ど、動揺するな。単に１時間勘違いしてだけだ。よくあることだ。…て、よく有ってたまるかよ。未知は私の脳だった。まて、チャンスはまだあるということだ。暗い居間でみかんとデルピーと紐じゃらしやダンボールシャッフルゲーム（即興）で遊ぶ。眠くないので寝落ちはないが、長いんだよな〜この小一時間。

　　　

■猫々朝日記。デジカメのＩＳＯ感度を6400に設定して電気を消した部屋で撮影してみた。マジで映画『パラノーマル・アクティビティ』みたいな画像だ。ちょっと怖いかも。４時35分、ようやく隣りのマンションに新聞配達のバイクが来た。なぜか再度そわそわと騒がしくなるみかん。玄関で待つこと５分。デルピーも登場だ。

■猫々朝日記。エレベーターが上がってくる音がする。私は洗面所に退避。ガーッと扉が開き、光が漏れてくる。「ふーっ、お早う…おはよ…はふっ。」２匹は久しぶりに雁首揃えて御対面。すぐに立ち去る足音がする。デルピーはゆっくりと居間にはける。みかんはハミーッと１つ大鳴き。近所迷惑なので、抱きかかえて居間に。

■猫々朝日記。11月に入ったので、猫と新聞配達のおじさんとの遭遇話はもう止めようかと思ったのに、まだ続いている。昨日がハズしたからなあ。みかんは冷蔵庫の上から棚上の猫ハウスに眠りに戻った。５時過ぎて、ようやくカラスが鳴き始める。そとは真っ暗。私はもう目が冴えて眠れないし。…あ、新聞取ってきて読もう。

2011.11.02 Wednesday　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　

■午前２時半、居間でみかんの猫咆哮で目が覚める。放置してまた寝入っても良いのだが、夕べは10時過ぎにもう眠りに着いたので、取りあえず起きて個人的に近所迷惑防止条例を発動。微弱灯１つの居間で遊んだり脅したり諭したりしつつ、気付けば寝落ちしててみかんはとうに棚上の猫ハウスにいた。午前４時40分。

■うお、もう時間じゃん！慌てて窓から隣を覗き下ろす。新聞配達のバイクはいない。もうそこを出たのか？玄関ドアに隙間を開ける。みかん、棚の上から首だけ出して覗き見していたが、床に下りてくる。デルピーはベッドルームから静かに登場。あ、でも今日から取り換え工事でエレベーターは使えないんだよな。

■ガコン。あれ、エレベーターのいる階を示すボタンが動いているのがドアの隙間から見える。今日から配達員さんは徒歩で階段を昇ってくると思ってたけど、そうか、工事は今日の９時開始だから、朝イチはまだ動くんだ。毎日本当にどれだけ思い込みで生きているのか、こんな些細な猫仕事からも思い知らされる。

　　　

■「お早う」と一言、ドア越しにおじさんの声。今日はあっさり味か。慌ただしいみかんに対して、デルピーは直前にドアの前に行って堂々と姿勢を正している。終わると悠然と居間に戻ってくるデルピー。何かちょっと大物スターっぽいと感じる猫馬鹿な自分。みかん共々今日は顔合わせ成功。みんな、お疲れさん！

■猫々効果で朝の５時に新聞を読む。ふむ、今日からセリーグのクライマックスシリーズ中日ＶＳヤクルトか。…って、あれ、確か愚妻がファイナルステージ初戦のチケット買ったとか言ってたような…。うお、ホワイトボードに磁石で付けてあるこれか。よう手に入ったな。今夜はまたナゴヤドーム行きかいな。

2011.11.03 Thursday　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　

■ベッド下の時計を見る。…30分を指している。一瞬、時間だ！と思ったが、３時台ではないかと見なおす。やっぱ、３時30分だった。もうひと眠りするか？一応、寝過ごさぬよう居間に移動。10分後、押し入れの方からドスンと音がした。みかんが降りて来たのだ。20分後、デルピーが足音させて入ってくる。

■小一時間、ほぼ横になりながら暗闇の中でみかんとデルピーを軽く撫で、叩き、さすり、つねる。みかんはいつもよりずっと静かだ。この時間が思っていたより貴重なひとときだと改めて気付く。そして４時40分、東側の窓より隣りのマンションから新聞配達のバイクが発進するのを抱いたみかんと共に覗く。

■ここからは勘しかない。昨日からエレベーターそのものの全取っ換え作業が始まったので、エレベーターで上がって来ていた間合いが計れない。取りあえず玄関ドアを少し開けて固定する。ドアの外の風景が随分と違う。単なる狭い通路になっている。そろそろ時間だ。猫２匹廊下を行ったり来たりし始める。

　　　

■階段を登ってくる音がする。みかんは後ずさりして、デルピーが前面に移動した。新聞投函。「…はあ、はあ…オハヨ…ふう、はあ…」配達員さん、５階まで急いだのでちょっと息が荒い。休む暇もなくまた早足で降りて行く。今日挨拶わされたのはデルピー。みかんは後でひと鳴き。ゆっくり居間に戻るデル。

■思いつかなかったけれど、配達員さんはバイクを走らせたり、配達の時は小走りで動くので、今まではエレベーターの中はほんのしばしの休息タイムでもあったんだろうな。５階まで駆けあがらせて、ちょっと気の毒。デルピーはもう愚妻の足の上で眠りの体制らしい。みかんは箱の中。外はまだまだ真っ暗。


2011.11.04 Friday　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　

■午前３時30分、目が覚める。寝たのは１時間半前だから、ほんの１睡眠サイクルしただけということだ。もう一潜りすると次は５時に目覚めそうなので、寝入らず居間に移動。みかんが猫ハウスから降りてくる。騒がないよう、尾の付け根の腰の上を軽く叩く。たいがいの猫ってここペシペシすると喜ぶよね。

■４時25分、一度猫ハウスに戻っていたみかんがまた降りて来た。東側の窓を覗くとバイクが停まっていた。デルピーが顔半分ドアから出して「ぼち、出待ちすか？」って顔をしていたので、背中をポンと叩くと居間に移動してきた。玄関ドア、10センチ幅でオープン。２匹は廊下と書庫室を行き来しつつ出待ち。

■39分、少し登るのに疲れたような足音が聞こえて来た。私は書庫室に移動。ちょっと息が荒い声で猫達に「お早う、冷えるよ…」と言ってから新聞を新聞受けに入れる音。猫の心配をしてくれているんだ…とちょっとカンドー。猫は隙間に頭を２つ縦に並べて、ちょっと長めに見送っていた。はい諸君、撤収〜。


2011.11.05 Saturday

　　　

■今朝はもう３時前からみかんが騒いでいるし。ベッドを這いずり出て居間に行き、座布団３枚を縦に並べてその上で横になる。これは昔、詩人の河村悟氏が自宅で仮眠する時にやっていたもので、案外心地よい。うとうとしてから目を覚まし、横を見たらデルピーが闇から抜け出て来たように待機していた。

■今朝は少し早めに台所のドアを開け、ほぼ物置き状態になっている書庫部屋で猫と共に待機してみることにした。玄関横の部屋とはいえ、２匹がバラバラにあっちに行ったりこっちに来たりして落ち着かず、いざという時玄関に集合してくれるのかちょっと気を揉む。50分を過ぎた。今朝はちょっと遅れてる？

■階段を上がって来る音がする。猫２匹、いつの間にか所定の位置で外を見ている。新聞投函の音。少し乱れた息のまま「よいしょ、お早う…」と配達員さんの声。すぐにまた駆け下りて行く。じっと見ている猫たち。台所に通じるドアを開けると、「はい、今日も終わりー」って感じで小走りに居間に戻る。

　　　

■新聞を取って居間に戻り、電気を点ける。さて座布団の上にちょっと横になろうかと思ったら、１枚に１匹ずつ占有されていて、残された私の領分は１枚だけだった。へばりつくようにして寛ぐ者たちを引き剥がすわけにもいかず、残った１枚に座して新聞を開く。今日は曇り。猫もう寝ちょる。早すぎだろ。


2011.11.06 Sunday

　　　

■午前４時、居間で目を覚ます。午前２時半（つまり１時間前だ）に眠ろうと思ったが、どうせひと眠りした後眼が覚めるのであれば、ベッドで眠ってもここで横になっていても大して変わらないと思ったからだ。本棚の上の箱にいるみかんの様子を伺う。静かだ。頼むからもう少しそれをキープしてくれ。

■４時15分。みかんが箱から出て、ＴＶを踏み台にしてストンと床に下りてくる。ゆっくり台所のドアに行き、伸び上がってノブを引く。「だめだよ、ガチンと引いてあるか開かないよ。｣普通ならノブを回して開けてしまうんだな。経験値の問題か。ベッド上のデルピーを起こして居間で２匹とひもひも遊び。

■窓の外を見ると路面が濡れている。今は降っていないのだが、今日は雨らしい。45分、やはり雨の影響なのか、バイクはまだ隣りのマンション前に停まっていない。48分、チラリと配達員さんの姿が眼下に見えた。雨降りを避けていつとは別の、マンションの裏側にバイクを停めていたのだ。53分、発車。

　　　

■騒ぐみかんを抑えきれずに、しかたなく台所のドアを開放した。玄関ドアにダッシュして、したたかに頭をぶつけている。猫は大丈夫なのか、あんなにゴーンと音がするほど鉄板に頭突きして？書庫室でデルピーが蚊取り線香を焚く陶器をシャリシャリ舐めている。５時ジャストに下の３階に新聞投函の音。

■30秒後に、階段を登って来る足音がする。デルピーがゆっくりドアに向かう。みかんが直前に持ち場を放棄して書庫室に遁走。久しぶりに出たよ、みかんの超ドタキャン。新聞が投函される。デルピーに向かって声。「ふう〜、お早う、はぁ…」この疲れた呼吸までは文字で表現できないな。小走りに退出。

■デルピー、威風堂々と退出です。みかんはようやく戻ってきて、ドアの外を覗いている。もう遅いって。新聞を取って居間に戻る。なんでこんなことをしているのだろう。考えても後付けの理由に過ぎず、意味や目的がないことを当人が一番知っているのだけれど。『ライ麦畑でつかまえて』が頭に浮かぶ。

　　　

■2003年の村上春樹訳だと、まんま『キャッチャー・イン・ザ・ライ』だ。それがどうしたって？あの中の主人公の夢…広いライ麦畑で遊んでいる子どもたちが、気付かずに崖っぷちから落ちそうになったときに、捕まえてあげるような、そんな人間になりたい…という妄想。全く別事だけど何か似ているかも。

■そんなことは明らかに後付けなのだけれど、あのサリンジャーの小説を読んだ時の何かを守るという漠然とした感覚は少し近いかもしれない。別に配達員さんと猫達がわずか数秒顔を合わすということは、守るべきことではなく、むしろ時には猫に強要したりもするけれど、まあそんな感じと勝手に納得する。


2011.11.07 Monday

　　　

■午前４時10分、居間で目覚める。えーと…何でここにいるのかな？何となく２時頃みかんが鳴き騒いでいたような気もするが…。ついに無意識に行動するようになったのか？それとも単なる寝ぼけか、ど忘れか。同20分、あれ…何やら急激に腹が痛くなってきた。は、腹が…未明シリーズ最大のピンチ襲来だ。

■30分には隣りのマンションに配達のバイクが来るだろう。そうしたら玄関ドアを開けたりとか色々準備しなくては。それにみかんが大鳴きしても止められないし…。などと考えて抗うが、生理的現象の圧勝で、トイレに駆け込む。不可抗力。うう…寝しなに喰ったコンビニ弁当のせい？時間がない、ヤバし！

■冷や汗と脂汗をかいてからトイレを出る。どうにか復活。30分ぴったりに隣りマンションに配達バイク到着。そうだ、今朝はうちの玄関前まで到達する時間を計ってみよう。玄関ドアを開けて、洗面所に控えている。猫は廊下を行ったり来たり。ちゃんと玄関の隙間でスタンバるのかちょっとハラハラする。

　　　

■計り始めてから９分30秒経過。はあはあと息をしながら、配達員さん、５階分登って玄関に到着だ。しばしの間。息を整えているらしい。新聞投函のガコンという音。「…お早う、んふーふふ…」何か微笑ましかったのか？駆け下りて行った後、チラ見してみる。みかんがデルピーをショリショリ舐めている。

■明日はもう少し細かく中間点まで計測してみようか。２匹、久しぶりに並んで泳ぐ鯉のように寄り添いながら居間に戻って行く。私も新聞を回収して居間に。１面に「竜、日本シリーズ進出」のタイトル。昨日はヤクルトが敗戦後、ベンチ裏にさがる選手たちがグラウンドに向かい礼をする姿が印象に残った。

■この後まだ日本シリーズがあるんだよな。パリーグはソフトバンクが日本シリーズに進出したから、ついにドアラが福岡のヤフードームに行くのだな。この際あわよくば私も応援がてら博多に行ってみようかなどと思いつつ、現実に戻って周りを見回すと、猫２匹別々に棚の上の猫ハウスでもう寝ているし。


2011.11.08 Tuesday

　　　

■午前３時半、蚊が飛ぶ音で目が覚める。えーと…この時期に蚊？それとも幻聴？分からないけれどリアルな音で目が覚めた。まだ４時半までには時間があるので、しっかり寝入ると寝過ごすと思いつつうとうとすることにした。それから何度も、ひと眠りして時計を見ても１分も進んでいない現象を繰り返す。

■３時55分、居間でドスンと音がした。みかんが棚の上から床に下りた音だ。頼むからもう少し静かにしていてくれと思っていると、ベッドの足もとまでウィ〜鳴きながらやってきた。今にも大鳴きしそうなので、仕方なく起きて居間へ。デルピーもゆっくり起きてついてくる。18分、みかん、棚の上に出戻る。

■みかんに下りてきてもらうために、高いマグロの柵を切る。暗闇の中で刺身包丁。怪しいことこの上なし。34分、隣りのマンションから配達バイク出発。昨日のデータだと９分半後に玄関先だ。今から台所のドアを開けると、しばらくは玄関ドアの前に行くけれど、数分間スタンバり続けないかも。…猫だし。

　　　

■気まぐれに書庫室だの洗面所だのをうろつく可能性もあるので、直前に台所のドアを開け放てばよかろうと時計を見る。計算だと43分到着だから、よし、40分になったら開けてやるか。その時玄関でカチャンと音。え…まさかもう来ちゃった？少しして確認すると新聞もう来てる。ぐああっ…データが甘かった。

■今朝は起きしなから変だったけれど（…いつもか）、明確な意識で時を計ったつもりでこれだ。今日はええと、６分半で玄関到着。明日はもっとちゃんとしよう。いや、申し訳ない、みかん＆デルピー。配達のおじさん、誠に面目ない。よし、昨日は風が強かったから、今朝はこのままヤケ銀杏拾いするか。


2011.11.09 Wednesday

　　　

■午前４時５分、しっかり目が覚める。昨日はケアレスミスから人猫遭遇イベントが叶わなかったので、今日は少しだけ慎重に起きる。居間での30分はいつもと変わらず…と思っていたら、デルピーが突然ゲボる。猫ゲボはお約束なので慌てず騒がず暗闇の中で事後処理を敢行。37分、隣からバイク発進音が。

■玄関ドアに隙間を作ると、猫２匹はいつも通り外を覗き見するが、誰も来ないのでしばらくすると飽きて台所方面に戻り始める。しかし46分、階段を登り来る足音に気付いてまたドアに。配達員さん、近づいてきてドアの隙間の猫達に気付いてまず「おっ」と声。新聞を投函してから「お早う…んふふ…。」

■おじさん、今朝はいつもより心なしか足取りが軽そうだ。息も上がっていない。５階上がりに慣れた？退出しゆく後ろ姿を、今日は横に頭を２つ並べて見送る猫たち。マンションの玄関外でバイクが発進する音を聞くと、揃って居間方面に移動だ。猫缶を１つ開けてねぎらう。喰い付きよろし。御苦労さま。


2011.11.10 Thersday

　　　

■３時過ぎからデルピーとみかんがベッドの周りを回ったり居間で走り回ったりと、とにかく騒がしかったが今日はシカトしてみた。すると４時前には静かになったので居間に移動してみた。部屋隅で少ししおれたように箱座りしている。少し申し訳ない気がして頭を撫でる。紐遊びも今朝のノリはイマイチ。

■４時30分、抱き上げたみかんと共に隣りのマンションを窓から覗き見ると、ちょうど配達バイクが発進した。玄関に行き、ドアを猫の頭幅分開ける。みかんがへばりつき、鳴きながら外をガン見するが、デルピーは落ち着いて傍に佇んでいる。やがて下の階から配達して回っている音が微かに聞こえてきた。

■階段から足音がする。みかんはまたもや突然後ずさりして闇の中に移動したので、デルピーの尻を押してワントップの位置をお願いする。おじさんがやってきて、新聞を投函してから見上げるデルピーに言った。「おはよう、賢いねえ…、おはよ。」…優しい声だな。私も心の中でおじさんに「お早う！」