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■１■ゆとりーとラインの上島西停留所で下車し、吉根(きっこ)東交差点を左折して400ｍ程進むと庄内川を跨ぐ吉根橋に出る｡ここから庄内川の堤防を下流に向けて歩行を開始した。しかしすぐに河川敷に広がる黄色い西洋カラシナの群生に魅せられて堤を下り、懲りずに枯れ萱の落とし穴だらけの河原を進む。

■２■河原は蓮華･水仙･浅葱･杉菜･蓬･虎杖､その他名も知らぬ植物たちに覆い尽くされていて、気が付けばどう歩いても立ち止ってもその若い芽や花を踏んでしまうことに気づき、しばらく立ちすくんだ。自分と自然との関係を考える。必然と偶然、作為と無作為。自らの存在も自然と捉えつつ堤防まで戻った。

■３■左岸の堤はほぼ直線で、右側の堤外地と呼ばれる広大な高水敷には雑然とした竹林や森が続く。この土地を上島と呼ぶらしい。蛇行する川面は見えないままどんどん離れて行くが、この辺りの川表はどこもアブラナ科の花に満ち、法面(土手)はタンポポが咲き、いずこも黄色い敷物を広げたように見える。

■４■最初は庄内川の河原に咲く菜の花(アブラナ科の総称)が群生しているのを見るたびに夢中になって撮影していたが、途中で河原のあちこちに普通に咲いていることに気がづいた。最近の西洋カラシナは他の品種と交雑を繰り返して様々な特徴を持っているので､もはやぱっと見で区別がつかなくなっている。

■５■細かい蚊柱が立つ暑い日。河原の植物を踏みしだきながら進むより、人間は人間の作った道の上を歩き進むべきだなとも思う。しかしその道はゴルフ場に弾かれて気づけば幹線の県道15号を歩いていた。この辺りはまだ市街地ではないからか、川岸に遊歩道の類がない。河畔歩行フリークには厳しい地だ。

■６■道すがらに突然お気に入りの温泉施設｢竜泉寺の湯｣が見えた。歩いて来たのも、来たのに入浴しないのも個人的には初めての出来事だ。その先の小高い場所にある竜泉寺は延暦年間(782～806年)よりあり、その開基には熱田神宮に別個に参篭した最澄と空海が共に関係しているらしい。今は猫が２匹いた。

■７■名古屋第２環状自動車道を越えてすぐの余慶橋信号を右折し、ようやく庄内川が見える堤防に辿り着いた。しかし季節外れの炎天下を遮る影もない堤防上の道を歩くことに。２kmほど進むと川を渡るＪＲ中央本線が見えた。そこで川を離れて線路沿いに１km歩き、新森山で乗車して鶴舞経由の帰路につく。

■８■電車に乗り込んだら両腕の皮膚が赤く斑に日焼けしていて、既に日傘が必要な季節だと気づく。今後は水分補給や途中休憩も視野に入れ、体への不要な負担は極力減らすよう心掛けたい。名古屋で一番高い東谷山に上り、一番長い庄内川を下る。もうすぐＧＷだと気づき己の無為に愕然とする４月も下旬。

20250420 Sunday