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■１■３時30分。日々歩くことでこの地に馴染んでいく感があるが、この身体と共に綿棒多面体を重ね持つことで新しいフェイズに入ることになるのではと考えながら目が覚めた。自らの｢血｣と名古屋の｢地｣を重ねた｢知｣で生まれる新たに創られる｢値｣の｢４値｣。まあ他者的には何の意味もないかも知れないが。

■２■午前５時35分鶴舞線に乗り、伏見で東山線に乗り換え、６時02分中村公園駅着。まだ日の出前だが、先ず中村公園まで豊国参道を北上する。何と参道の並木が松だった。園内にある豊国神社は豊臣秀吉生誕地の隣にあり、秀吉を祀っていた。総本社は京都市東山にある。そこに東山線に乗って来たわけだ。

■３■公園内にはその拝殿と本殿や秀吉に関する石碑・銅像があるが、他にも隣接する妙行寺の地で生まれ、出陣の際に必勝祈願をしたとされる加藤清正の銅像や、大正天皇御手植松や、初代中村勘三郎の生誕記念碑などがあるちょっとしたワンダーランドだ。さらに綿棒多面体が割り込む絵づらはシュールだ。

■４■公園を北に抜けて内堀通りを左折し、庄内川に架かる豊公橋を渡る。するとそこはもう清須市であり、太閤天然温泉『湯吉郎』という温泉施設があった。川岸に下りると白いモヤが流れている。最初は焚火かと思い次に霞かと考えたが、温泉施設の廃湯の蒸気だった。そして川面からは本物の朝霧が上る。

■５■川岸に辿り着き、上流に向かって北上を開始する。１／ｆ揺らぎのような街の音がし､車も走り､電車も動いている。しかし辺りには全く人がいない。川向う遥かに名古屋駅の高層ビル群のシルエットがあり、その間から日が昇って来る。ただそれだけなのに、忘れてしまっている昔の静かな情緒と繋がる。

■６■２kmほど歩くと新幹線と東海道線の鉄道橋があり、その下をくぐるとさらに枇杷島橋がある。車道と歩道と遊歩道が上手く繋がっておらず難儀した。名鉄線の踏切を越えると、堤防上の車道とは別の遊歩道があった。ワイヤーが赤いあかとんぼ橋の名古屋高速６号線と一般道をくぐって、さらに先に進む。

■７■堤の上に４階建ての奇妙な形の小田井水門があり、その先は小田井遊水地という洪水時には計画的に水を貯める治水施設が広がっている。そこが普段は庄内緑地公園であり、憩いの空間になっている。公園に入るとすぐに気のふれそうなほど黄色い銀杏の樹から、青空に映えつつはらはらと落葉している。

■８■約42ヘクタールの敷地は良く整備されていて、朝日を浴びた初冬の木々や複数の池が実に美しい。サンザシの赤くたわわな実。ずっとここにいたいほどだがそれなりにかなり満喫した。またきっと訪れるだろう。公園の端にある庄内緑地公園駅から帰路に就く。ラッシュ時だが幸い席に座ることができた。

//////////////オプショナルなもの言い//////////////

■９■今日同行したこの綿棒多面体は､５芒星12面と６芒星４面からなる｢16面体｣だ。黄金比φと円周率πも備わっているが､正12面体構造と正４面体構造を重畳した形状(相貫体ではない)で、３軸直交の空間認識としてのベクトル平衡体も見て取れるようにした。ベクトル平衡体にさらに足しても製作が可能だ。

■10■以前は自作の多面体作品を自然の中に溶け込ませようという意識だったが、今はここにいるけれどここにいない自分の代わりに画像の中に置いておくというような感じ。あまり画面に映り込み過ぎると邪魔にも感じかねないが、自らを画面に晒す代わりに視座のアリバイとして挿入させてるつもりなのか。

20241202 Monday