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■１■丑三つ時に目が覚める。半ば自動的に動き出す。今朝はちょっとだけ違和感がある。ああ、そうだ、眼鏡を掛けていないのだと気づく。机の上も椅子の上も探すけど見当たらない。マジか？新しいパターン。記憶をまさぐる。色々推理する。思い当たらない。取り敢えず失せ物探しに眼鏡を掛けなくちゃ。

■２■いやその眼鏡がないんだってば。道を聞くために交番に行こうとして交番を探すみたいなやつだ。まあパニックにはならないけれど、さすがに視力0.1以下の裸眼で知らない夜道を徘徊するのは無理がある。眼鏡をしたままベットで寝落ちして、寝返り打ってベッドの下に落ちたとしか。うん、あった。

■３■そもそもなぜ暗中夜回りしているのか？歩きながらその意味を探すため？立ち止って考えるのでなく、歩きながらまさぐるため。なぜ生きているのかの問いの答を探すためにまず生きていみる的な？未来は体の中からやって来ると体が非言語で言う。体の外の環界でなく、体の内というより本当の外の外。

■４■今日は主幹道路に沿って１本外側の裏道を辿りながら、鶴舞駅までの往復１時間と決めた。裏道２車線の道は真ん中を歩く。車は全く来ない。「全ての道はローマに続く」という名言は、残念ながら日本には通じない。国道16号線はぐるっと関東の環状線だけれど、三浦半島と千葉の船路には道路はない。

■５■環状道路でなければ、道なりに進めば必ず道は果てる。ＪＲ鶴舞駅前は歩道橋とＪＲ高架線と地上の５叉路とそれらを跨ぐ高速道路が立体的に折り重なっている面白い交差点だ。街灯も切頂20面体の形でかなりオシャレだ。今日は深夜の大きな鶴舞公園を突っ切ってみた。思っていたよりも遥かに明るい。

■６■無人と思っていたら突然大噴水越しに人の声がする。夜中の３時半に公園でデート？と思ったけれど、どうも日本語ではない。数人がマウンテンバイクに乗って、話しながら走っている。英語でも中国語でもない。有り得ないけれど、集団で襲われたら、棒切れを拾って応戦かなどとと少し妄想してみる。

■７■公園端にある古墳をぐるりと回っていると猫の声がする。ちょっと困ったような鳴き声の居場所を探すけれど見つからない。頭上の星が綺麗だが、月齢11の月はもう見当たらない。足を動かしているのだけれど、視座は固定して動かないまま、景色がどんどん後ろに流れていく感じ。人体は本当に面白い。

■８■脳内で今在の位置情報は更新されて行くけれど、初めて通る横道も見慣れた裏道も、スマホ撮影した夜の絵づらだと区別がつかない。幸せだった子供の頃のあの空間から一体どれだけ遠くに来たのだろうと、敢えて感慨ぶってみる。遠くに来たのでなく、全てここ以上の幸せなここに在るのを知りつつも。

20241014 Monday