■１■水は方円の器に従う。重力に対して水平な方向に安定しようとする。人間の３軸認識でも前後という生物学的自得の特性（１人称的）、左右という社会的・対面対称を認識する特性（２人称的）、共有する不二な重力中心垂直方向（３人称的）に対し、水はこの３次元を内包した動きをする。人間も水だ。
■２■天災はある意味では人間自身の広大な共通無意識領域からの通奏低音的な重い響きを伴った警告とも取れる。心の姿勢へのさらなる何かのためのシュミレーションとして、この地震もまた愚鈍なエネルギー必要論者を含めた人間自身への自らの（水からのと書くほどベタではないが）警告とも捉えられる。
■３■時が時、場合が場合だから大きな声では言えないのだが、私は地震が嫌いではない。被害を被った人に対しては顰蹙だから控え目に言うと、落雷や強風や台風や吹雪もかなり好きだ。自らの生命の危険が侵されないところからのもの言いで申し訳ないが、自分も含めた人間の邪悪さ愚鈍さの方が恐ろしい。
■４■人間の自我が良からぬという意味ではない。自我は妄想や偏見も含め、自らの内でのそれは、しっかり観察する視座を保ちつつ大切にしたいものだ。他者に押し付けたり正当化しがちな愚かさも有する自我を、冷静に観察しつつ優しく愛おしく見詰める精神が、過愚を戒めるべく身の内に激震を誘発する。
■５■お清めとして盛ったりすることもある「塩」や、神仏に捧げるアカとしての「水」も、寒い日に浴びると生命が喜ぶ太陽の「光」も、本質としては同じもののような気がする。そのようなものを自らの心身生命の中に励起すべく、外界と内界の不整合な捻れや歪みを調整してくれる自然現象は好ましい。
2022.12.07
Wednesday
|