■１■1959年、カリフォルニア工科大学でリチャード・ファインマンが「There's
plenty of room at the bottom」と題する歴史的な講演を行った。<bottom>は今のナノテクノロジーに通じる極小世界を表現している。「コンピューターのビットを原子１個にすることに何の物理的障害もない」と言い切った。
■２■｢ナノテクノロジー｣という言葉を初めて使ったのは、アメリカの物理学者エリック・ドレクスラーだ。1980年代に「原子を１つずつ自由に組み立てられれば、原理的に何でも製造することが可能になる」と主張して、そのような原子を直接操作する微細な分子オーダーの機械を｢ナノマシン｣と名付けた。
■３■ナノメートル(nm)とは10の-9乗メートルであり、ナノテクノロジーとは、少なくとも１つの次元が100nm以下の物質をコントロールすることにより､機能を持つ材料･デバイス･システムを研究･設計･創出･合成･操作･応用すること､そしてそのスケールで通常現れる新たな現象や特性を利用することである。
■４■水素原子は約0.25nm､炭素原子は約0.35nmである｡1957年に全合成に成功した抗生物質ペニシリンの分子のサイズは１nm強である。1985年炭素原子がサッカーボール状に結合したフラーレン(0.7nm)が発見される。1991年炭素原子が筒状構造に結合したカーボンナノチューブ(直径0.4〜50nm)が発見される。
「細胞生成物とウイルスの結婚」というコピーは敬愛する友人あにまんだら氏のフレーズです。
■５■現在はナノテクノロジーとナノメディシンが突出している。逆に言うと、ナノテクの軍事利用から生じる問題と生物医学的応用から生じる問題が際立つということでもある。軍事機密下で研究中のナノレベル兵器の流出やバイオハザード的状況が様々なパニック系の映画で恐怖と共に忠実に描かれている。
■６■現在世を狂乱させているウイルス･SARS-COV-2のサイズも100nmである。軍事がらみ疑惑が拭えないその後のウイルスの研究にも、関わる科学者にも、そしてその狂騒状態を煽るが如き世界中のマスコミの不自然な偏り具合も、一律のワクチン接種計画も、このサイズに関する｢ナノ倫理｣が欠如が関わる。
■７■為政者が個々人のプライバシーや自由を半ば強制的に制限したり、国民を相互に監視させて自然との関わりすらも不自然と自主規制させたり、法的に罰則を定めたり、ウイルスを駆逐すべき悪者扱いするのも、ナノレベルの倫理を持てないままに、真の知識を閉ざされミスリードされた恐怖によるものだ。
■８■現代社会が加速度的に高度かつ複雑になりゆく中で、私たちはあらゆる問題に関心を向ける余裕がますますなくなっていく。ナノスケールは人間の可視光帯域より小さい、色もなく形も分からない見えない領域なのに、知りたい情報へのアクセスに制限がかかり、それと知らずに不平等は拡大されている。
■９■見えぬもの分からぬものに対しては、安易に不安や恐怖を持てても、信頼や敬意の持ちようがない。ではそこに倫理観も持てないのだろうか。それは自らの内にあるはず。他者にも恐怖を強要したり、他者のためと偽って納得できぬまま自由を制限したりすることの欺瞞が自然に見えてこよう。ナノ倫理。
■あにまんだら氏が今年の新型コロナウイルス騒動の始まる前年に「セルマンダラ」を公にしたことは、とても素晴らしい慧眼だったと改めて思う。特に最終回のウイルスに関するところは、今更ながら的を得ていて心打たれすらする。願わくば更なる「セルマンダラ」で、ウイルスの先を皆と共に語ってほしい。
■様々な不自然･不平等･理不尽なることたちを追求し是正すべく活動するのは良いことだ。ただしその原因や行為者を全て自分と自分たちの外部に想定し、自らの潔白や正しさの証とするのであれば、ぜひ自らの内にもある「最も自明で曇りなき在りよう」と対峙し、世界を見るパラメーターにしてほしいものだ。
■世界が曇っているのであれば、それは自分のものの見方ﾓ一因であるというという可能性もあるし…。そして恐らくその「曇りなき在りよう」は、決してひとりよがりのものではなく、他者とほぼ同型なカタチとして繋がっているものだとも思える。よきもあしきも私はウイルスの味方です。私はウイルスです。
■このもの言いはメタファーでもあるけれど、実際無数のウイルスが自らの内にも外にもいるわけで、それを嫌悪するか愛しく思うかは根本的なところで生き様に影響するよね。人間にとってよからぬところばかりをあげつらい、今ここで生きて語れること自体の確かなる遠因に対しては感謝を向ける余裕がない。
■自分の見聞きしたことを組み替え組織化しながら、既存の世界を飛び出ようとする。それだけでもカタチはウイルス。あ、関係のあまりないいらんことまで言い始めている。言葉は少なめに、比喩は丁寧に、がモットーなのに。どっとはらい〜（←昔話の〆の言い回しだけれど、若い子は知らんかも…(笑)。）
2020.12.03
Thursday
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