#012　ＣＭは命がけで見よ

■１■ＣＭは昔から商品の性能や企業姿勢とは関係なく製作されてきた。ＣＭに登場する俳優やタレント等も、自分のイメージに適するか選択できる一握りの者以外は、依頼が来れば事務所を介した仕事として、また別の事業の資金のためにと、自らの信条や世界観とは別に金目的で自分を切り売りしている。

■２■ＣＭは製品が最高の品であるなしに関わらず、最も買いたくなる製品として見せることが仕事の本質である。マーケティング戦略によって、企業側もまた最も優れた製品を作るのではなく、最も買いたくなるものを作る方に傾く経済効率という斜面に立っていて、今や経済丸ごと地滑りの真っ最中だ。

■３■口コミすらも金で買収して利用し、意識操作に多大な金を掛ける現在の在りようが、優しさや慈しみを語れるはずがない。日本の一部にはまだ最低の誇りが残っている。しかしそうでない世界戦略の企業がほとんどだ。関与して生計を立てる者にも気兼ねなく言おう。ＣＭはほぼ全てが欺瞞の上にある。

　　　

■４■与えられた制限の中でできる限りのことを創る人間の努力と創意は否定しない。例えばソフトバンクのホワイト家族などのシリーズ化された作品は、商品と関係なく楽しめもする。安易にＣＧ処理せず多大な努力で創った実写もある。ＣＭはぼーっと見ていてはいけない。見るなら命がけで見なくては。

■５■ではＣＭを一切なくせば良いのか？私が記憶する限り、ＣＭが消えたのは過去３回。1989年の昭和天皇崩御の時、1995年の阪神・淡路大震災後、そして去年の東日本大震災後だ。自力でいつでも瞬時にそれは可能だ。ＣＭを添える本体もまた洗脳と無思考化の操作に覆われている。心して見ること。

2012.01.12 Thursday