#088　新たなるケガレチとイヤシロチ

■１■風向きによるホットスポットやコールドスポットの分布。全国各地の隠蔽された放射能漏れ事故や通常の非条理放出や、黄砂や杉花粉や、人間の恐怖や憤怒の感情微粒子の流れと溜まりの分布によって、日本に古来よりあると考えられているケガレチとイヤシロチの地図を書き変えねばならないだろう。

■２■各地の原発関連のツィッターを集めたページを見ていると、各原発に関して次々に語られる文字列が、時々刻々の戦況を伝える情報の集積する作戦本部にいるかのように感じられる。全国各地で成されている不断の戦いでもあるこれらの書き込みが全て止まる日を夢見つつ、今を励起して生きねばならぬ。

■３■先ずは己れの内面と周囲の空間からでもイヤシロチとすべくコンスタントに意識するのは意味がありそうだ。それにしても日々いつになく眠い。ひたすら眠るのも、今この時用の生命力を上げる１つの方法かも知れない。日本全土がケガレチに成り果てたなら、反転しゆく生命と意識の出番である。

　　　

■４■手塚治虫の『火の鳥』のロックも、宮崎駿の『風の谷のナウシカ』のナウシカも、小高い丘の上から滅びゆく世界を見詰めていた。なぜこのような時なのに、世界はかくも美しいのだろう？という自問に現今の状況と自然の美しさが重なり、いつになく小高い丘の上に登って世界を眺めたくもなる。

■５■ＴＶでも新聞でも雑誌でもネットでも、悲観的な現状をただ伝えるだけの情報の中に、最近はまた別の装いをした操作のようなものを感じる。漫然とデモをしていたらサクラが紛れ込んで悪事を為し、デモそのものを悪質なものにしてしまうという手合の。楽天的でありつつも慎重に生きなくては。

■６■本当のことはうかつに書けない。本当のことは安易に口に出すことができない。本当のことはそれだけで他者を傷つけたり不安がらせたりする力も持っている。文字にして書き記すことすら「呪詛」にもなり兼ねる。ただまなざしで他者を世界を「寿ぐ」ことの力強さ。「名」は安易には明かさない。

■７■なるほど、2002年に発覚した東電の事故隠しで引責辞任した南直哉社長が、今はフジテレビの監査役に天下りしているんだ。情報隠ぺいした者が報道機関の監査役に収まってちゃいかんでしょ。フジＴＶの現在の体質を表していると共に、これは裏での繋がりのほんの一部だとも推測できるわな。

2011.05.14 Saturday