#002　姪たちがビールを注いでくれた正月

■先日年末年始を挟んで名古屋で当地の親族のクリスマスパーティーと新年会に行ってきた。これらは嫁さんの母親が自宅で主催して毎年行われているものなのだが、いつ行っても本当に居心地がよくて楽しい。嫁さんは３人姉妹の長女である。義妹となる次女と３女には素直で可愛い子供たちがいる。前者にはイケメンの長男と可愛い双子の娘が、後者にもこれまた可愛い姉と妹がいる。私には自慢の甥っ子姪っ子である。

■子供たちのプライバシーを守るというのもあるので名前や画像は出さないが、現在大学１年生の甥っ子、高校２年生の双子、そして高校１年生と小学５年生の姪っ子である。年々健やかに成長していくのでお年玉の額も段々大変になっていくのだが、それはまあ嬉しい悲鳴というものだろう。大学から甥っ子も戻ってきて、これまた３姉妹の長女でもある義母の２人の妹さんも参加していたのでほぼフルメンバーである。

■義妹の旦那たちもとても有能なのに砕けていて気兼ねなく接することができる。おせちや様々なご馳走を頂きながら飲んだのだが、今年の私は特別な喜びがあった。年頃の姪っ子たちに次々とビールを注いでもらったのである。未成年にアルコールを注がせるなんてと目くじらを立てないで頂きたい。慣れぬ手つきで、泡立ち加減も知らぬまま笑顔と共に注いでくれたことに驚き、そして素直に喜んだ。みな美人さんなのだ。

　　　

■単なるロリコン親父じゃないかと辟易されることのないように一応弁明しておくと、この絶妙な年頃に揃っているパーティーというものはいつでもあるものではない。というより稀有なことであろう。いたいけな幼女に訳も分からず液体を注がせるのでもなければ、酸いも甘いも知っている熟女に酌をしてもらうわけでもない。好意の表れだと疑念なく解釈して、そしてその稀なる幸運を素直に喜び味わったのである。

■父母にとっては毎日がかけがえのないものであり、また未来に幸せが待ち受けているとはいえそれすらも心配の種になるのであろう。しかし子供のいない私にとっては特異なスタンスから、素直で健やかな時を精一杯輝きながら生き抜いて欲しいと望み、また子育ての大変さを知らぬ立ち位置からその命の軌跡を眺めていることができるのだ。世の親と子と親族たちがみなかように曇りなく時を過ごせるよう祈りたい。

■もちろん大切に育てられたことがよく分かる可愛らしさや素直さという表面的なものだけでなく、年頃の悩み苦しみ苛立ち痛みもあるだろうことは想像に難くない。しかし国内や世界からのニュースや情報からは、そのような日常を知らない子供たちや与えられない親たちも少なからず存在していることも事実である。忘れかけていた自らのティーンの頃も想起しながら、この生命の陽だまりの温かさを味わいたい。

　　　

■他者から言わせればそれは老人性感情失禁の一歩手前で、無意識のうちに自己顕示欲が羞恥心を凌駕してしまっている加齢臭放散状態のおじバカであろうことは自覚している。しかしまあそれでも不幸や不満を文章にするのでないのだから大目に見てもらって、このひと時ひと時の貴重さを味わいながら今年をスタートしたいと思う。いや確かに私の立ち位置はいっぷう変わったところである。これも自覚してはいるが。

■とここまで書いてきて、結局はやはり自分の自慢話に過ぎないような気がしてきた。まあ幸福感を忘れないように、我慢してきたけれど我慢しきれずに書き留めたのである。すみません、私は幸せ者です。ありがとう。偽りではないが、ひとりよがりかも知れない慶びをば、願わくばおすそ分けできればよいのだが。さてかくして今年もまた日々はかように健やかに流れていく。

2008.01.06 Sunday