#383 不正行為の連続露見は本物顕現の予兆

　　　

■最近のニュースは、それまで隠されてきた企業や団体の不正や違法行為が次々と露見していくことを伝えている。内部告発や連動捜査の結果もあるが、それまでの権力や伝統に胡坐をかいた既得権という悪しき思い込みのなんとも脆い崩壊連鎖を見るにつけ、いい時代になったと思う。過去の悪行が明らかになると人の心は先ず「やっちゃあいられない」と荒れるだろうが、その後に何が来るのか見定めねばならない。

■偽物やごまかしが露見し、またそれを「悪」という枠組で捉えるとすれば、より巨悪なるもののしっぽや影を予見し、個々人の無力感を超えて強く生きていかねばならない。悪しきものごとが白日の下に晒されるのであれば、当然良き麗しき生き様やその結果に対しても日の光が当たっていくはずだ。他者の心を勇気付けるような素晴らしい生き様のベクトルを持つ者たちの人となりも明らかになりゆくに違いない。

■そしてその姿勢や生き方もまたそれぞれの者の心や命の中にフラクタルに織り込まれているはずだ。自他の中に諸悪の芽や実を見て無力感に身を浸すか、善や美というものを見て生命を光り輝くよう励起されるかは自由だ。それと同時に自らの意識の中の偽物やごまかしを曖昧な記憶の闇に沈み込めることなく、自らに告発し対処すべき方向を見定め、より良き生き方と意味を模索していきたいものだ。

　　　

■長いこと…本当に長いこと、自らの意識の内側にある暗がりの中に、自らのありうべき生命ベクトルに反したり矛盾したりするものごとを先送りにして放り込んできた。そしてそのことを自ら忘れてこうとし続けてきた。しかし今、内と外、胎児と母体が連動して生まれ出る時のように、意識的だけでなく無意識的にもそれらが弾け、自らの生命総体があらわになり行く時代となり来た予兆でもある気がする。

■自らの外のみならず内側から明らかに弾け出てくる、邪悪さや怠慢さゆえの結果や本質に気づいたとしても、それを自分と分離して生命全体の保身に腐心することなく、ひたすら正直であること、純粋であること。ニュースを見ていれば当人以外なら誰にでも分かる裸の王様の自他を欺こうとする弁明の空しさ。あるべき自己のあらぬありようをただそれとして見詰め、その泥土の中から花開く思いがけぬ光花を咲かせたい。

■自他の正直さにもっと寛容になろう。自他の不正直さにもっと激しく接しよう。そしてその現われ来る良からぬものごとのさらに奥底にある、いまだ露わにならざる偽り・誤魔化し・欺瞞のより本質的なところに気づくよう努めよう。世界に対してより目を開き、自らに対してより敏感でいよう。内にも外にも、既存のありようのみを期待することなく、はみ出してくる未知に対して狂気ではなくより正気で立ち向かおう。

2007.11.26 Monday