#356 自分が強運だと信じ込める強運
■自分が他者に比べて強運の持ち主だと思い込める人は、すでにそれだけで強運である。信じ込むと言ってももちろん意識して強くそう思い込もうとするのではなく、さしたる疑いもなく実感と共にそれを確信しているということだ。その思い込みだけでもまず幸運をより引き寄せてもいるだろうし、自分の身の回りに起きた出来事を強運の結果であると解釈できるということだけでも多幸感に満ちいてるだろう。
■生まれつき強運を持っているということが科学的にどういうことかは解析できないけれど、少なくともそう評される人はいる。自らそれを自認している人もいれば、他者から見てそう思われるが当人にはそれが普通のことと感じている人もいる。どちらにしてもその自信があることですでに他者より葛藤も少なければ、危機回避能力も高いだろう。また他者に対する気遣いをするそれなりの余裕もできるだろう。
■そしてもう１つ、それが思い込みであると自己評価しつつもその強運感そのものを維持できるとしたら、その意識構造を持てるということだけでもすでに強運であろう。全く同じような状況でも強運ではなく偶然の積み重ねであると判じたり、その状態すらも不運の結果であると考える者もいるだろう。その相対的な違いそのもの、もしくはその生じるところが強運なのであろう。ではそれは何か？
■霊的な世界とはほぼ無縁なのだが、友人知人にはスピリチュアルな者やサイキックな人が少しはいる。そしてそのような人たちがそのような世界で動いているらしいことは理解できるが、自分とは直接かかわりがないし、実際にそのような世界を実感できるわけでもない。ただそれでもそんな友人知人がいることと関係あるかどうか分からないが、自らは何かに守られている、もしくはラッキーであるという感覚はある。
■先日の南相木村でみんなが温泉施設に行く間、１人別行動を取って宿の近くにある立岩という奇岩を見に行った。そしてひとくされ写真を撮り、さて戻ろうとした時はすでにたそがれ時となってしまっていた。怖がりな私は夕闇迫る人気のない林道をずっと１人で歩いて帰らねばならないことに気がついた。暗くなりゆく木立の中の山道を前にして、未知なる領域に歩を進める意を決しかねて立ち往生するところだった。
■するとその時、後ろから人気のない山道を４ＷＤの車が近づいてきた。そして私の前に停まるとするすると窓が開き、おじさんがどちらまで行くのかと尋ねてきた。かなり先にある分譲地の別荘ですと答えると、乗って行きなさいと言ってくれた。おかげて苦もなく数分間で帰りつけたのだが、その時自分は守られているのだなと感じた。もしくは自分がずっとラッキーであるということが変わっていないと改めて思った。
■またその後甲府で１泊した後名古屋に帰るに及んで、「身延線＋東海道線新幹線」でも「中央本線＋中央西線特急」でも面倒くさいし運賃も高いので、甲府−名古屋直通の高速バスで帰りたいと思っていた。しかし地元の人はもうそのバスはないだろうと言った。その言葉には現地人の重さがあったけれど、私は漠然となんとかなるだろうと思って甲府駅に出た。実際に30分後に最終便があることを知り、それに乗れた。
■暗くなりかけた長い山道をずっと歩かねばならないのかと心配している時点で、その心配などとは無関係な別の用事で現地の人が運転する車が通りがかったことは全くの偶然かもしれないし、「バスはもうない」と言われてもその時点で名古屋行きのバス便は元々時刻表上にあったのだから、どちらもラッキーだったり守られているわけではないと言われても、その感覚を持てるということ自体がまず問題なのだ。
■では一体誰に、もしくは何に守られているのだろう？先祖の霊、守護天使、ハイアーセルフ、宇宙の仕組…なんと解釈することも可能だろうし、守られているものが私でありつつ、守っているものもまた私が私だと自覚認識している以上のより統合的な「私」であるという解釈もあるだろう。これもまたそう感じられること自体がすでにラッキーなのであるということは変わらない。幸運であることへの感謝。
■自分がことさら他者よりもラッキーだなどとエゴ丸出しの得意がりをするつもりは毛頭ない。むしろここで言いたいのは、実は誰でも幸運であり守られているという感覚を持ちつつ、普通に生きていくことはできるのではないかと問うことである。何となれば守っているものも自分とは関係ない外部の「何か」ではなく、まさに自分が自分とまだ理解していない「自分」自身でもあるという発想に至れるからである。
■幸運であると感じられないことの幸運というものすらも、言葉遊びではない実感としてありうるというこの世界の面白さ、豊かさ、そしてちょっぴり恐ろしさすらもある。どうも私は勝手に面白さをチョイスしているらしい。…で、あなたは？
2007.10.03 Wednesday
  
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