#346　愛するようにただ多面体を見詰めれば

■愛する者は愛を語らない。ただ愛を生きるだけだ。ただ愛を言葉だけで語る者に注意しよう。もちろん言葉を否定はしない。愛する者が愛を語っているならば、語るということをも含めた愛するという行為なのだ。もし言葉をなくしてたとしても、愛する者は高次から見れば光り輝いていることだろう。生命の響きを持って多くのことを語り続けているだろう。

■自らの内をまさぐっても愛が見つからない時、それを恥じたり隠したりする必要はない。愛は常備の義務でも権利でもない。愛なきことにもおそらく意味がある。そんな時でも微笑みながら世界を見詰めることができれば良いのだが。そして今思うのだ。自然は優しいと。ただそれはそのように在るだけなのに、人間としては限りなく優しいものに思えるのだ。

■あなたがそこに存在するだけで、それは世界にとって奇跡であり、恩寵であり、祝福すべき出来事なのだ。それを説明するにはとても長い時間を必要とするだろう。しかしあなたがそこにただいるだけですでに充分なのだという考え方と、そこに存在すること自体が罪であり世界にたいして害であるという思想や哲学や教義の、どちらが好みなのかという問いかけから始めたい。

　　　

■疑うもよし、騙されるもよし、無色のままおのれの身のうちにあるものを見詰めるもよし。そこに喜びと美しさがあるかどうかも１つの判断の基準になるだろう。ただあなたがそこに存在するということ自体に対して、常不軽菩薩の成したことのように私もまた心から敬い讃えたい。あなたとはもちろん特定の個人ではない。共に数と形に未来を見る人たちすべてのことだ。

(on 20070805)

2007.08.20 Monday