#294　自他に立て分けられない情動群

■自分のものではないとしか判じられない情動や憧憬や記憶が突然意識の中に去来し、科学的物質と共に身中を駆け巡ることがある。霊媒体質の者だけでなく、そのようなことは誰にでも起こりうる。他者に共感する能力が欠落している者は、そのような時、狂気に似た状態に陥るだろう。逆に他者に対して成すすべなく過度に共感してしまう者は、自らの存在を喪失してしまうのではという恐怖に襲われるだろう。

■常に姿勢を制御すべく立ち動くカナード翼のように、自らの心の動きと情動に気を配り、素早く微調整していないと、バランスよく自分と他者の関係を構築できない感情や情動の波(電磁波的なものとして観測されるかもしれない)が、これからは満ち潮のように押し寄せてくるだろうから、それまで生きてきたこと自体が意味もなく乖離してしまいかねないだろう。以前より慎重にかつ大胆に日々刻々を生きていこう。

■もちろんヒーリングなどでは、自分というものを引いた時によりその力が生きるということがあるから、自己が考えすぎるのは良くないこともある。しかしそれは内省や現状把握をしなくても良いというわけではない。現在自らが為していることの意味や全体性の中での在りようなどを考えようとしないまま、全てを受け入れようとする人は、自我が成熟してやがて自然に脱落するプロセスを通過できない。

■そのような時でも世界や他者に対する信頼や、現状そのものがすでに恩寵であり万物が天啓でもあると見るような素直で純粋な姿勢があれば、魔境と表現されるような闇の中に迷い込み、自分にも他者にも迷惑をかけ、共に無明の地獄に転げ落ちていくことはないだろう。反転という思考法があれば、自己他者や世界と自分、過去と未来など様々な対概念は超えられる。非自己の振動が生じたら喜べる姿勢を持とう。

2007.05.06 Sunday