#022　温泉に入ると脳が温泉卵になる日

■昨日はついに「エノクの鍵」を放り出して、岐阜県にある養老温泉に行ってきた。新しいカーナビを稼動させたら、車で高速使えば最短１時間弱で辿り着けてしまうことが判明。いい調子でカーナビ任せし過ぎ、途中で高速道路の接続を間違える。焦るとどんどん事態は悪いほうに転がり行くもので、回り道すれば工事中で通行止め。ああ今の私に温泉は許されぬのかと悲観もしてみる。

■悲観はもちろん許されず、田舎道の果てに辿り着きしは「養老汗蒸幕・ゆせんの里」。なにやら一見ビール工場のような丸いレンガの建物がある。これが実は韓国古来の手法を生かした蒸し風呂と、五色岩盤浴の施設だった。エステとか健康療法とかもついていて、料金が２１００円もする。何か変だなと思ったら温泉だけの施設は隣接している同系列の「四季のふるさと養老」だった。

■ここを選んだのは源泉掛け流しだからなのだが、こちら「養老汗蒸幕・ゆせんの里」を選んで、ある意味正解だった。温泉そのものには洗い場と四角い湯船以外に何もなく、濃い塩化物泉で勝負する潔い温泉施設だった。溶解物質は多いのだがｐＨがほぼ中性なので、体に負担の少ない優しい湯質である。大気に触れると底が見えないほど緑褐色に濁る湯を、２時間ほど独占状態で楽しんだ。

■久しぶりの岩盤浴も味わい、さあ帰ろうかと身支度をしていると、隣の「四季のふるさと養老」も無料で入れると知らされた。しからば湯船だけでも見に参らんと行ってみる。毎分６５０リットルという湧出量をうまく使ってこちらも掛け流しだ。日が暮れると外気は強風なので寒かったが、露天風呂も広い湯船で開放感があった。湧出温度は４２度だが、加熱により２種の温度が味わえる。

■久しぶりの温泉なのでやみくもに浸かり過ぎたからか、帰りは頭痛に見舞われた。悪いものが出る好転反応と勝手に解して帰宅後もだらける。「エノクの鍵」をほんの数行訳してはみたけれど、戦力外を自己申告して敵前逃亡。逃げても逃げても自分自身からは逃げ切れない意識の鬼ごっこ。光速を超えたら追うのと逃げるのが入れ替わるだけ。やむなく自らに今年初めての休日を許す。

■ライオンはウサギを捕らえるのにも全力を尽くすという表現はＯＫだけれど、トウフを切るのにもチェーンソーを用いるような愚考は避けたいもの。白子のようにちょっと緩めであろう自らの脳みそを包む、神経網が軋み音を上げているのであれば、温泉タマゴのような脳みそがぐずぐずにならないように、そっと寝床に保存しよう。…つるり、ごおーん。ああ〜っ、躓いて激痛が〜っ。

on 2006.03.01 Wednesday