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■新穂高温泉はやはり遥かに遠かった。名古屋から名神高速、中央自動車道、長野自動車道を通り、松本ICからは高山まで続く158号線で奥飛騨温泉郷までひた走った。阿房トンネルを抜けるとそこはもう平湯温泉。さらに道沿いの福地温泉・新平湯温泉・栃尾温泉を通過してようやく奥飛騨温泉郷のどんづまり、新穂高温泉に到着した。

　　

■しかしロープウェイ乗り場手前の広いバスターミナルには、客のいない定期バスが１台ひっそりと留まっているだけだった。とりあえず安めの宿を紹介してもらおうと、観光案内所に飛び込んでみて初めて、この時期は多くの宿が休業中だと知った。あちこち電話して断られ諦めかけた後、「民宿たきざわ」にようやく予約が取れた。

　　

■すでに暗くなってたどり着いた玄関はこじんまりしていて友達の家に来たような感じがした。すぐに食事の時間になる。ここの料理は美味しかった。ご主人の郷土創作料理なのだろうが、ニジマスの笹焼き、イワナの活け作り、飛騨牛のほう葉味噌焼きなべ、山菜料理など丁寧に作られた品々が寒さと空腹の身に心づくしが染み入った。

　　

■他に客は若いカップル一組だけらしい。さて露天だが、宿から少し離れた外にあった。浴衣と丹前で行くにはちと寒いが、内鍵付きなのだが、独占するには大き目の贅沢な露天風呂だった。無色透明だがわずかに硫黄臭のある湯は当然ながら掛け流し、ちょっとぬるめの湯温があたりの暗さとあいまって、独特の開放感を与えてくれる。

　　　　　　　

■２つの露天風呂の外に、この宿には内風呂も２つあった。元々全て貸し切りで利用するシステムらしいが、これまた24時間独占状態。ちょっとぬるめの湯質が長風呂の肌になじみ、いつのまにか骨まで暖まっていた。新穂高の温泉は湯量豊富ではあるが、浴室の床がちょっとした川のように掛け流されているのを見るのは幸せを感じる。

★所在地：岐阜県高山市奥飛騨温泉郷中尾 TEL：0578-89-2705 http://www.okuhida.com/

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(※)現在は改築を重ね、飛騨高山の古民家をリフォームした和モダンな宿となり、名前も「麓庵民宿たきざわ」となっている。

人生丸ごと湯治日記（５２３）　20011129 re.