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■私が助手席から雪国の景色を舐めるように見回しているうちに、菅原先生の愛車は
関越自動車道の六日町ＩＣを降りて十日町を通り、Ｒ253からＲ353を通って雪道の峠
を越えて進んでいた。するとやがて湯煙と共に四角い大きな木製看板が見えてきた。
松之山温泉街の手前にある日帰り温泉施設「エステビュウ湯の山」の入り口である。

■看板の下から上がっている湯気は汲み上げている源泉のものらしい。早速車を停め
て館内に入る。入館料は大人700円なりでタオルセット付き。日本三大薬湯の里「松
之山温泉」と謳っているが、菅原先生の話では有馬温泉と草津温泉は確定だが、最後
の１つは全国各地の温泉地がそれを主張するものの、確定していないとのことだ。

　　

■浴室の戸を開けると窓が広くて展望が良さそうだが、湯煙が濃くて外が良く見えな
い。窓際に横長の大き目な湯船が広がっている。さてさっそく浸かってみると、食塩
泉らしいツルスベ感が肌に伝わってくる。お湯の中で手を軽く動かすだけで、トロト
ロな感触が掌でも感じられる。お湯の濃さは本物であり、火照り方が尋常ではない。

　　

■ここの泉質はナトリウム・カルシウム－塩化物泉だが他の成分も豊富だ。平成６年
に地下1000ｍから掘削・湧出した新しい源泉で、源泉名は湯坂温泉だ。この湯はあま
りゆっくり浸からなくても充分温まるので、浸かりすぎに注意した方がいいですよと
菅原先生が言われた。薬も過ぎれば毒になる。休み休み湯に浸かるのが正しそうだ。

■少し階段を下りたところにある露天からの眺めはバツグンに良い。雪の積もった世
界を眺めおろしながら浸かっていると、冬の雪に埋もれた露天風呂は本当にいいもの
だと体感する。露天の片隅に源泉の注ぎ口があったので飲泉してみたが、熱いしとて
も苦くしょっぱい味だった。少し早めに上がると、遠藤さんはもう休憩所にいた。

　　

■ここの休憩用広間にはセルフサービスの食堂がついていて、小腹を満たすためにお
にぎりとけんちん汁を頼んでみたが、こちらの方の味はあまりお勧めしない。持ち込
み自由なので、お弁当でも持参して窓の外に降りしきる雪を見ながらゆっくりと過ご
すのがよさそうである。湯上りの気だるさしのぎに、横になって休むのが心地よい。

★所在地：新潟県十日町市松之山湯山1252-1　TEL.025-596-2619　
https://yunoyama.jp/

人生丸ごと湯治日記（５１０）　20020128 re.