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■ユンニの宿をチェックアウトすると、台風の影響で寸断されている道路情報も知らぬまま、方向を定めずに出発した。「道はおのずと知れる」と言いつつハンドルを握るるしえる兄ぃ。苫小牧、室蘭、函館からは様々なところにフェリーが出ているから出たとこ勝負、もしくは運命お任せナビシステムということだ（いやだなあ…笑）。

　　

■苫小牧を通過し、国道36号線から室蘭国道37号線に乗り、ひたすら流星号は走り続ける。長万部で有名な浜チャンポンを食してまた走る。ところが落部に入ると「函館への迂回路」という掲示板が見えた。台風によって道がまだ寸断されているのだ。半島を横断して日本海側に抜け、そこから津軽海峡側に山越えをするルートしかない。

　　

■ちょうど江差に着くと日没だった。宿を探していると乙部町館浦温泉という看板が目に入った。フロントに訪ねると１泊２食で8000円だというが、素泊まり6000円で泊めてもらうことにした。しかし後で調べたら、この宿はユリネ料理が売りの有名な宿だった。無知は恐いものだ。2000円をけちって、その料理を食いそびれてしまった。

■ここのお風呂は内湯のみで露天はないが、広い浴室の周囲がガラス窓のサッシで囲まれており開放感がある。岩によって縁取られている大小２つの浴槽には、赤銅色に濁った湯が満ちていて、浴槽の底は全く見えない。床石はオーバーフローする温泉の成分によって赤サビ色に染まっている。２つの浴槽の間に湧出口があり泉温は高い。

　　

■泉質はナトリウム-硫酸塩・塩化物泉で、泉温は69.5℃である。湧出時の泉色はほぼ無色透明だがわずかに淡褐色微濁がある。pH値は7.5。湧出量は毎分171リットルの自噴。飲用も可で、その結果太らないという効用ありとのこと。お湯は仄かな甘味、明瞭な塩味、金気味やホウ酸味等が感じられ、ほろ苦く無臭。微アンモニア臭有り。

　　

■見た目から想像されるようなギシギシ感はなく、むしろ肌ざわりのよいツルスベ感がある。美人の湯として女性に人気があるという話だ。この宿の宿泊者は隣接する町営の日帰り入浴施設「おとべ温泉いこいの湯」にも、宿側から倉庫のような通路を通って入浴できるシステムになっている。こちらには四角い浴槽の露天風呂がある。

（※）2015年３月にリニューアルして、現在はバリアフリーなども取り入れた綺麗で人気の宿となっている。また2009年に別泉源への切り替えを行い、泉質が変化したという。

★所在地：北海道爾志郡乙部町館浦527-２ TEL.0139-62-3347 http://www.kourinsou.com/

人生丸ごと湯治日記（５０７）　20010912 re.