500spa

■帯広での多面体レクチャー＆占星術鑑定のために、茨木の大洗からフェリーに乗って苫小牧に付いたるしえる兄ぃと私。ドライブと観光も兼ねて日高山脈を越えるルートではなく、襟裳岬経由で太平洋側をぐるりと回って十勝平野に入った。途中、海岸沿いの大樹町はホロカヤントー海岸に隣接している「晩成温泉」に立ち寄ってみた。

■大器晩成とは全然関係のない地名なのだろうけれど、客は自ら車を運転して来ているご老人ばかりが目につく。昼間であることもあって空いており、浴場の大きなガラス窓から波打ち際がすぐ目の前に見えるロケーションだ。打たせ湯・サウナ・ジェット噴流・冷泉、それに備品も揃っていて、値段は良心的値段設定の350円(※1)である。

　　

■ここの泉質はナトリウム塩化物泉だが、全国でも大変珍しいヨードのお湯だった(※2)。ヨードすなわちヨウ素が温泉成分の中に多く含まれているということで、浴室の中にもいわゆるヨードチンキのような匂いが立ち込めているが、決して不快なものではない。わずかにぬめりのあるお湯の色は、濃く出した麦茶のような黄褐色である。

■不透明度は大きく、パッと見では帯広などのモール泉に似ているが、似て非なるものである。湧出量は動力揚湯で133リットル／分で、pH値は7.3である。ラドンも入ってるらしい。泉温は20.9℃なので、加熱循環されている。循環してもこの臭いなのだから、湧出時はもっと強烈なのだろう。舐めると塩分が濃く、麺つゆのような味だ。

　　

■しかし成分分析表には飲用禁止と書いてある。高濃度のヨウ化物イオンが含まれて
いるので殺菌作用があり、皮膚病・高血圧によいらしい。ここは露天風呂はないが、
内湯からベランダにそのまま出ることができる。つまり裸のまま眼前の太平洋を見下
ろすことができるわけだ。一般の感覚では秘湯の類であり、珍しい奇湯でもあろう。

■日帰り温泉として近在の人たちの社交場にもなっているようだ。こは宿泊施設も併
設しており、非常に安価に(※3)泊ることもできる。温泉のすぐ隣が海岸で、ゆった
りと一服することができた。芝生のはずれに、海を背景にぽつんと小さな社があった
のが印象的だった。るしえる兄ぃも元気を取り戻して、帯広市内に運転再開である。

　　　　　　　

■途中でるしえる兄ぃが「まろちゃん、あれあれガンタンク」と言って突然車を路肩に寄せて、大きめの風車を指差した。単なる看板代わりの目立つオブジェかと思って良く見ると、下にキャタピラーが覗いている。つまり自走式だということだ。確かに「機動戦士ガンダム」に出てきたガンタンクによく似ている。北海道は奥が深い。

(※1)2001年当時の値段。現在は500円。
(※2)未だ未訪問だが、青森県の浅虫温泉もヨード泉らしい。
(※3)最近でも宿泊費は温泉付き１泊２食付税込で4300円のようだ。

★所在地：北海道広尾郡大樹町字晩成２　TEL.01558-7-8161
http://www.town.taiki.hokkaido.jp/soshiki/kikaku/shoko/bansei_onsen.html

人生丸ごと湯治日記（５００）　20010905 re.