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■この温泉を知ったのは十数年前だった。月・地球・太陽の関係から発生する
暦を愛し研究する者として、またマヤの世界観を背景としたＲＰＧ「ドリーム
スペル」を遊ぶ者として､さらにスーパーの食肉売り場で365という値段があれ
ば、半ば無意識にそれを買い物かごに入れる数ギーグとしても強く魅かれた。

■この温泉名の365という数の由来は、近くを通る国道365号線だろうと思われ
るが、365という数を愛する者として、そして温泉好きでもある者として､この
福井県の南端近くの山中にある温泉には、いつか入らねばなるまいと思ってい
たが原付免許すらないので中々叶わなかった。今回満を持しての入湯である。

■国道365号は、石川県加賀市から福井県・滋賀県・岐阜県を通り、三重県四
日市市へ至る一般国道だ。その駿河湾にも近い山中で、国道476号との合流点
に近いところにあるスキー場に、今庄365温泉は併設されている。したがって
真夏はオフシーズンとも言えるのだが､地元の客達がそこそこ利用している。

■広々とした駐車場の一部に車が固まっている。そのすぐ傍に「やすらぎ」は
あった。倒れそうな外気の暑さから施設の中に入ると、目が慣れないのもあっ
てくらく感じる。受付で 500円を払って早速暖簾の奥の脱衣所に。縦長のロッ
カーが使いやすい。浴槽のドアを開けると広い窓際に横長の浴槽が１つある。

■お湯は無色透明ほぼ無臭で、僅からツルツル感がある。単純硫黄泉なだが、
来客数もそこそこあるし、循環濾過加温の過程でかなり温泉の特徴が削られて
しまっているようだ。だが消毒剤の塩素臭もしない。この日は長湯をするとそ
の後に体調不全を起こしそうな猛暑なので、湯舟に浸かっている客は少ない。

■右側にあるドアを通って、露天風呂へと向かおう。岩で組まれた階段を降り
て行くのだが、バリアフリーなどの設備はない。いやそれ以前に日陰以外は石
が焼けていて、ゆっくり降りていく余裕もない。東屋風の六角屋根を配した露
天岩風呂は不定形な横長をしており、湯尻からは福井の山並みが眺められる。

■２階の休憩所には馴染み客が横になって寛いでいた。飲泉所もあるらしい。
ロビー奥に椅子が沢山ある空間が冷房も聞いていて心地よい。長年期待を膨ら
ませてきたので、思ったよりシンプルな構造にちょっと拍子抜けしたが、それ
でも高所から山並みを眺められる露天風呂は心地よかった｡365温泉も制覇だ。

　　　　　　 ★所在地：福井県南条郡南越前町板取85-36　TEL.0778-45-1113
　　　　　　・泉種／アルカリ性単純硫黄温泉
　　　　　　・pH9.6、泉温29.1℃
　　　　　　・湧出量／217L/分
　　　　　　・料金／550円
　　　　　　・営業時間／グリーンシーズン　10時～21時30分（火曜定休）
　　　　　　　　　　　　　　スノーシーズン　　10時～22時　　（無休）

人生丸ごと湯治日記（４６０）　2018.07.18 Wednesday