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この看板と背景の山々を見た時、自分もそこに立ち一幅の絵の中に入りたいと思った。

■１■個人的に毎週月曜日の朝はそわそわする。少年ジャンプを買って『鬼滅
の刃』その他を読むために、いつもはコンビニに走るのだ。しかし松川渓谷温
泉郷ではコンビニは見かけないし、雑誌を売っているような商店の在りかすら
分らない。しかたなく小布施か須坂方面に向けて山を下って行くことにした。

いつもは地元の人で混むらしいけど、独占。いつもありがとう、温泉のかみさま(笑)。

■２■その途中、戸隠や黒姫など北信の名峰やその向うの北アルプスまでしょ
って、道の端に「子安温泉」の看板が立っていた。子安温泉は民間企業が運営
する日帰り温泉施設だが、ここは特に治療の目的に供しうる「療養泉」でもあ
った。つまり療養効果が高いということだが、おもに地元の人が訪れている。

浴槽の周囲の板が腐食している感じも、温泉の濃さを物語っている。

■３■施設はこじんまりとした木造の平家建てで、広い駐車場がある。券売機
で入泉券を買い受付に手渡してさっそく入湯。外観同様に浴室も共同浴場的な
総木造りで、落ち着いた雰囲気がある。源泉を口に含んでみると、塩分が濃く
て塩辛苦い。また強い金気臭がある。信州高山温泉郷でも異色な温泉である。

陽光の中だと白く飛ぶので、少し後退して撮った画像。窓外の緑も爽やかな風に揺れている。

■４■上がり湯として貯められている源泉は35度ほどで、夏場にはこれを浴び
ても気持ちが良いと思われるが、大量に湯船に投入されている湯は43度ほどに
加温されていて、しかも贅沢にも掛け流されている。源泉は透明だが、浴槽内
は温泉成分量同様に濁りの色合いも濃い。成分が濃いので、出たり入ったり。

女性用浴槽からの画像。中央にある吹き抜けと木工の仕様がまた心地よい。

■５■浴室にはカランもシャワーもなく、温泉の泉質一本で勝負している感の
施設だ。数年前に廃業するとの話が出たらしいが、見つかったという後継者が
現在の若いご夫婦なのだろうか。若い友人たちも来ていて朗らかに談笑してい
たが、この手の温泉施設にしては珍しく、華やいだ雰囲気を醸し出していた。

いつも言うけれど、別に光の筋に沿って祈っているわけではない(笑)。

■６■ちなみに浴室にはひとり先客がいたが、にこやかに挨拶を交わした後、
源泉を大量に被ってから出て行かれたので、その後は申し訳なくも独占させて
もらった。趣のある浴室から出て初めて、フロント周りなどが全面ロッジ風の
暖かみのある建物であることに気がついた。センスが若いのは良いことだ。　

すみにある源泉のままの上がり湯。加熱していないけれど35度Ｃはある。

■７■湯上がりにどうぞと飲み物のサービスあった。こういう細やかさがあり
がたい。ここには畳の休憩所は無く、ソファーとテーブルで休むことになる。
地元の常連さん用にだろう、11枚綴りで5000円という回数券も発行されている
。ここの名は安産・子授け・子育ての神様を祀る子安神社に近いかららしい。

　　　　　　　★所在地：長野県上高井郡高山村大字牧783　TEL.026-242-2219
　　　　　　　・源泉名／子安温泉
　　　　　　　・泉質／ナトリウム-カルシウム-塩化物温泉（等張性中性温泉）
　　　　　　　・泉温／35.4度
　　　　　　　・pH／6.5
　　　　　　　・湧出量／毎分82.2リットル
　　　　　　　・成分総計／8,938mg／kg
　　　　　　　・営業時間…10:00～20:00 毎週火・金曜定休。
　　　　　　　・料金／500円
　　　　　　　・施設／内風呂
　　　　　　　・温泉利用状況／加水無、循環無、消毒無、加温かけ流し、塩素消毒なし。

　　　　　

　　　　　　　　(※)図７だけ「秘境温泉神秘の湯」より借用しました。

人生丸ごと湯治日記（４４０）　2018.05.21 monday