滝の湯の宿泊施設入り口。ここで紅葉の時期などに湯治生活をしてみたいものだ。
■１■山田温泉から松川渓谷沿いに走る県道66号線を進むと、道は段々高度を上げていく。途中に高さ30ｍ、幅５ｍ雷滝という名瀑がある。絶壁に近い角度で谷底に切れ込んでいる松川渓谷の景観は、なかなか現場に来なければ分からない。この滝も100ｍ程道から急斜面を下りて行かねば見ることができない。
■２■この滝のすぐ先に、松川渓谷温泉「滝の湯」がある。ここは日帰り入浴の広々とした混浴露天風呂で有名だが、１泊素泊(自炊可、4400円＋入湯税150円）で泊れる宿泊施設もある。この「滝の湯」という名前は山田温泉のジモセンの「滝の湯」と名前がカブるけれど、どちらも雷滝から取ったのであろう。
これは帰り道の図。右側は湯治用の施設。もう、どこまでも緑、緑、緑。
■３■最初に現れた門の前でなく、少し先に進めば宿泊施設の玄関と施設利用者用の駐車場がある。そこから「大露天岩風呂」と書かれた入口をくぐり、黒っぽい宿泊施設の横を通って、渓谷へ続く新緑の中の階段と崖道を下っていく。すると日帰り専門の受付口があり、周辺には休憩できる空間や食堂もある。
言うことなしっ！
■４■ここの営業時間は10：00〜18：00。この日はオーナーさんが不在で、代わりに受付をしている方が、営業時間は午前10時からだけれど、オーナーがいる時はもっと早く来ても入れてもらえるよとか、色々な情報をちょこちょこと教えてくれた。ちなみに私は一番客で、施設内にはまだ他の客はいなかった。
これは雷滝までがんがん降りて行く途中の図だが、やはり帰りが少しずつ心配になる(笑)。
■５■男女別の脱衣所には使用済みのバスタオル用の脱水機があったり、設えもちゃんとしているのだが、浴槽に出る硝子戸には「脱衣所から先は、一切撮影禁止」との注意書きが貼ってあった。日帰り営業時間外で宿泊者なら撮影可能なのだろうか。脱衣所からドアを開けるとまず屋根付の男女別内湯がある。
滝の湯に関しての古い文言の解説を読む私。周囲の樹木と同じ傾き方をしている(笑)
■６■内湯は浴槽内まで凹凸の多い岩風呂で、管理人さんが温度チェックに来た。適温だ。しかし目指すは先ず露天だ。おお、確かに渓谷に沿って縦に長く広い。湯船と一体になった複数の巨岩の張り出し具合が目隠しの役も兼ねていて、浴槽内はうまいこと幾つかに分割され、さほど他者を気にしなくて済む。
男の脱衣所の隣にある内湯の岩風呂。ぬるめで優しいお湯だった。
■７■取りあえず一番奥にある湯尻まで言ってから振り返る。誰も客がいないので、温泉セットに入れたままのスマホを取りだして、ほんの数枚を隠し自撮りした。そのすぐ後に、男性客が１人入ってきた。かなり飛ばして来て、滝の手前で追い越した車の主だ。彼が雷滝に立ち寄ったためのこのタイムラグだ。
撮影禁止なので、他所から借りてきた画像。周囲の新緑を眺めながらいくらでも入っていられる。
■８■さて混浴露天だが、周囲ぐるりと渓谷の緑に囲まれたまま、白い湯の花が舞う、わずかに青みがかった適温の透明湯をゆっくり味わうことができる。惜しむらくは渓谷に張り出している造りなのに、高い岩のために入浴中は眼下の渓流が見えないことだ。食堂兼休憩所には猫もいるらしいが会えなかった。
■９■ここ滝の湯はカップルや夫婦で訪れる者も多い人気の施設なので、てっきり新しい施設なのかと思っていたが、実は武田信玄の隠し湯と伝えられており、古くから湯治場として知られていたらしい。なるほどだから自炊専用の宿泊施設があるのか。というより信州でも数少なくなった湯治できる宿なのだ。
★所在地：長野県上高井郡高山村奥山田3681-377
TEL.026-242-2211 http://www.takinoyu.jp/
・営業時間：10：00〜17：30受付終了、18：00閉門、定休日：不定休
・泉質／カルシウム・ナトリウム―硫酸塩・塩化物温泉
・ph／7.99
・料金／500円
・態様：源泉かけ流し、加水・加温なし、塩素消毒なし
・施設／内湯、露天（混浴大野天風呂…バスタオル巻きＯＫ、水着不可）
・食事処あり、休憩ＯＫ
・宿泊／１泊素泊・自炊可、4400円＋入湯税150円
(※)画像７は「ばらと温泉と日本酒ラベル」より、08の画像は「Travel.jp」より(写真：安藤美紀)借用しました。
人生丸ごと湯治日記（４３８） 2018.05.21
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（438）松川渓谷温泉「滝の湯」