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■１■赤湯温泉「山好荘」で朝湯を使った後は、チェックアウト前の９時30分
まで部屋でゴロゴロ過ごしてから、いよいよ土湯峠温泉郷の残る３つにリーチ
を掛けに出発した。わずか数百メートル先にある鷲倉温泉は立ち寄り入浴の15
分も前に着いてしまったので、先に一番奥にある幕川温泉に行くことにした。

■２■土湯峠温泉郷の一番奥にある幕川温泉だけは狭い林道をしばらく走らね
ば辿り着けない。この道はしょっちゅう崖崩れが起きているらしく、今回も真
新しい土砂を道の端によけてある所がいくつかあった。幕川温泉にある宿は「
吉倉温泉」と「水戸屋旅館」の２つで、源泉も仲良く分け合っているという。
　

■３■同じ泉質の２館に入ると体力も削られるので、特にこだわりの理由もな
く右の「吉倉温泉」で立ち寄り入浴をお願いすることにした。フロントで入浴
料金を払って、先ずは露天から入湯だ。脱衣所を出ると眼下に石で囲われた大
きな露天浴槽がある。周囲はブナの原生林に囲まれていて、野趣も味わえる。

■４■こちらの泉質は単純硫黄泉(pH5.9)で､湧出時は透明でやがて白濁してい
くのだが、しっかり硫黄臭もする新鮮なお湯は、陽光の中でうっすら青く輝く
ように透き通っている。浴槽内を移動すると、沈殿していた白身く細かい湯の
花が舞い上がる。この時間は客がいないからか、静謐さを感じる秘湯である。

■５■湯は絶品。ロケーションも素晴らしい。掛け流され続ける湯が勿体なさ
過ぎて胸が痛むくらいどだ。露天風呂と内風呂には別の源泉の湯がそれぞれに
投入されているという。露天は幕川５号泉（単純硫黄温泉）が、内湯には幕川
１号（単純温泉）が使用されている。単純泉は単純でなく、どちらも優しい。

■６■露天も美しいが内湯のたたずまいもまた素晴らしい。内湯の脱衣所に入
ると、大きなガラス越しに浴室と浴槽が見える。湯船の縁が木製の、８～10平
方メートルくらいの浴槽に静かに源泉が投入されている。窓の外の緑と相まっ
て、何というのだろう、ちょっと眺め入ってしまいそうな実に美しい浴室だ。

■７■フロントの左横に談話スペースのような場所があり、湯上り後の休憩ス
ペースとして使わせてもらう。宿の隅々まで清潔で美しい。とても満足したの
だけれど、女湯の方には内湯の外にも第２露天があったという。何だとーっ！
土湯温泉郷は総じて男風呂より女風呂の方が湯船も広いし数も多い気がする。

■８■まあこれは最近の温泉の傾向でもあるらしい。まあ今までちょっと男主
体の温泉環境が強かったのでしかたないけれど、宿の供する全部の源泉に入れ
なかったりすると、ちょっと悔しいけれど。混浴の温泉でも湯浴み着用ＯＫの
ところが増えていたりするし、千年、二千年来のおおらかな混浴復活を願う。

■９■このあたりも３：11以来、県圏外からの脚数がぐんと減ったらしい。今
が閑散期名のかも知れないけれど、立ち寄り入浴巡りをしていても、ほとんど
温泉を独占して味わえるので個人的には嬉しいのだが、自分を少しだけ離れて
考えると、福島から１時間でこの青白濁の湯を味わえるのに残念な気がする。

　　　★所在地：〒960-2157 福島県福島市土湯温泉町鷲倉山１-10　TEL.0242-64-3617
　　　　　　　　　ＨＰなし。るるぶトラベル、Yahoo!トラベルで予約可。

　　　　・日帰り入浴／500円 (10:00～15:00)無料駐車場有。
　　　　・源泉温度／73度
　　　　・湧出量／毎分120リットル
　　　　・泉質：単純泉（鉱泉） ph7.2、単純硫黄泉 ph5.9
　　　　・用法／源泉掛け流し　夏期は加水する場合あり　塩素消毒なし

人生丸ごと湯治日記（３８１）　2017.09.15 Friday