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■１■実際に訪問するまでは、小野川温泉はちょっとした小都市だと勝手に思
い込んでいた。実際に米沢から車で30分程で着くし、食堂や商店もあるし、外
湯も３つありバスも通っているし、温泉宿に泊るにも湯治するにも特に不自由
がないコンパクトな温泉町だった。落ち着いてはいるが落ち込んではいない。

■２■小野川温泉の開湯は836年（承和３年)だ。小野小町が父を訪ねて京都か
ら東北に向かう途中病に倒れ、偶然発見した温泉で３週間ほど養生したところ
病が完治し、父親とも再会できたという。温泉名もこれに由来するのだが、小
町も含めて小野妹子、小野道風、小野篁等の人物は皆かなり近い血筋らしい。

■３■個人的にはどうでもいいのだが、どうもその血筋に関係があるとかない
とか言う話でちょっと気にはなっている温泉だ。また到着してすぐに複数の猫
を見かけたので、好感を持っている。猫のいる温泉は良い温泉。小野川温泉の
泉質は含硫黄-ナトリウム･カルシウム-塩化物泉で､泉温は83℃とょっと高い。

■４■現在の温泉は80.3℃の高温泉である４号源泉に加えて、平成18年に掘削
によって35.6℃の低温温泉である５号線を得たために、小野川温泉の多くの施
設は４号源泉と５号源線を混合して入浴適する温度にして配湯している。1200
年も絶えず湧き続けてきた自然の名湯は、毎分1300リットルの湧出量を得た。

■５■ところがここ「うめや旅館」では４号泉のみを、熱交換システムを用い
て40℃程にまで温度を下げて掛け流して使用することにこだわっているのだと
いう。pH6.9の中性成分がしっとり肌に優しく､飲泉することで胃腸にも良い上
に、酸化還元電位が浴槽の中で－250mV であるということを謳っているのだ。

■６■実はＯＲＰ(酸化還元電位)計測器の計測値は様々な条件によって揺らぐ
し、その値に対する正当な評価は定まっていないところもある。それなのに温
泉の売りにしていいのかという思いもあって、順ちゃんはツッチーが輸入して
手に入れたＯＲＰを持ち、この宿の温泉の湧出口と湯船の中を計測していた。

■７■熱交換システムによって循環・加温・加水せず、源泉の成分を損なわず
に温度だけを下げ、濃厚でとろみのあるお湯を源泉掛け流して供しているとい
うこだわりの湯は、浴槽を大きくしないことにより実現していると言っても良
いだろう。ただ５号線のみの源泉に入ってみたいとも思うがそれは叶わない。

　　　★所在地：〒990-0031　〒992-0076 山形県米沢市小野川町2494　TEL 0238-32-2911
　　　　　　　　　　http://onsentamago.com/spa.html

　　　　　<<小野川温泉４号源泉>>
　　　　　・泉質／含硫黄ナトリウム･カルシウム-塩化物温泉
　　　　　・泉温／80.3℃
　　　　　・知覚的試験／無色透明にして、硫化水素臭と塩味を有する。
　　　　　・pH値／6.9
　　　　　・成分総計／5795mg／kg
　　　　　　　　　　陽イオン…Na^+ 1412mg、Ca^2+ 547.2mg、Ｋ^+ 123.2mgなど
　　　　　　　　　　陰イオン…Cl^- 3199mg、HCO3^- 116.3mg、SO4^2- 78.3mgなど
　　　　　　　　　　メタケイ酸 241.7mgなど
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　平成15年10月20日山形衛星研究所長

人生丸ごと湯治日記（３６８）　2017.09.11 Monday