（251）上諏訪温泉「片倉館」

■片倉館に最初に訪れたのは、もう20年近く前になる。京都で有機農業の作物の宅配業務をする「どれみ村」が京都で会合があり、関係者ではない私も天波さんたちに連れて行ってもらって出席した。その東京方面への帰路に、今は亡きトラオさんが「ひとっ風呂浴びて帰ろう」と言って諏訪に立ち寄り、この片倉館に入ったのだった。

■片倉館は「財団法人片倉館」が管理しているが、今回宿泊した「かたくら諏訪湖ホテル」も片倉財閥由来で片倉館と同一系列の経営なので、宿泊すれば無料入場券をもらうことができる。実際に隣の敷地で接しており、上諏訪駅からほぼ直線の道でつながっている。森山松之助が設計し、1928年（昭和3年）に竣工した、趣のある洋風建築だ。

　　　

■片倉館は片倉製糸紡績株式会社の２代目社長・片倉兼太郎が、創業50周年を記念して建立した文化福祉施設で、一般市民も利用できる温泉施設である。そこに玉石を敷いた深さ1.1メートルの千人風呂が有名だ。４×7.5メートルの大きな浴槽は、それでも実際は100人程が入れる広さであろうか。２階の200余畳の大広間が休憩スペースとなっている。

　　　

■さて温泉そのものだが、泉質は弱アルカリ性単純温泉で加水・加温はある。塩素系消毒剤を使用しているが、特に塩素臭はほとんどない。無色透明、微鉱物臭、無臭の湯を循環ろ過・掛け流し併用で使っている。この日は浴槽の隅にある上部湯口から源泉がかなりがんがん投入されていたと思う。源泉は三ツ釜１号・２号源湯・あやめ源湯の混合泉で、泉温は64.5度で、pＨ値は8.01。湧出量は不明だが、成分総計は624.9mg／kg。大人500円である。

人生丸ごと湯治日記（２５１） 20131203 Tuesday