（０６４）久留米温泉「湯の坂久留米温泉」

　江上先生と久留米駅の改札口で待ち合わせた。先生は私たちが九州温泉巡りをしているとご存知なので、「まずは、とりあえずひとっ風呂」と車を運転して、「湯の坂久留米温泉」に連れて行ってくださった。昔から久留米にも温泉があったとのことで、二日市温泉と同じように湯量も多く泉質も素晴らしい温泉であった。サカイ氏、ごう氏、チョコボ氏の紹介は湯船の中でと相成った。

　久しぶりにお会いした先生は相変わらずひょうひょうとしていらして、とてもお元気そうだった。今でも先生が教えている某進学校の教室には、綿棒多面体やマヤの紋章がたくさん飾ってあるそうだ。昨今話題になっているソフトバンクの孫正義氏やライブドアのホリエモンなども教え子だそうで、彼らのちょっとした裏側の力学や、韓国・北朝鮮・中国・ＵＳＡなどの表面的なこととは別の裏側の力学的なものの見方なども、話題の中で教えていただいた。

　ここの温泉は今年でオープンしてから１６年目だとのことだ。ここの庭の松や巨石などに必要以上の金が掛けられているのは、バブルが弾ける前に作られたからだそうだ。その時以来ずっとこの湯の坂久留米温泉では、天然ラドンも含有しているアルカリ性単純硫黄泉が毎分４００リットル自噴しており、４８度Ｃの湯温も変化がない。おそらくその湯の有効利用を考えたからだろう、ここにも家族風呂、貸し切り風呂のプライベート温泉が導入されたと壁に張ってある。しかもコインを入れるとお湯が入れ替わるというあのシステムでである。都会でしかも湯量が豊富だからそのようなニーズも分かる。しかしここでもまた貸し切り温泉が今盛りなりと知ると、やれやれの感がある。

　この湯を上がってから私と江上先生は、先生の奥さんが主催したパーティーに移動する。久留米のワインの会のメンバーが３年間のワイン修行を終えて金沢に帰るので、その送別バーティーだった。九州の人は親しい友人の知り合いもまた親しく仲間内に招き入れてくれるので、こちらも遠慮なく飲み食いに参加する。有難いことに、またここでも良き縁を広げさせていただく。この会を途中で抜け出して、久留米市内で夕食を取っていたサカイ氏らと合流し、田主丸の江上邸に向かった。久留米もまた地方都市の例に漏れず、郊外に車で訪れる大量売店や大娯楽施設をはじめとした店がどんどん出来て、駅周辺の空洞化現象が起きかけているとのことだ。

　江上邸の６角屋根のアトリエは今「かずら展」のギャラリーになっていた。そこになだれ込んで最初はおだやかに談笑モードから入ったが、ワインが脳内を駆け巡り始めると、サカイ氏たちの舌も段々と滑らか至極になっていった。さらにその後は戻ってこられた奥さんも加わり、霊現象やワイン話で活発な…いや活発すぎるハイテンションの談話が深夜過ぎまで続いた。江上先生は早々に退散し、私とチョコボ氏も午前１時前には眠りに着いた。しかしサカイ氏とごう氏はいつまでも起きていたようである。

■画像キャプション
上右：湯の坂久留米温泉の露天風呂と内風呂の一部。他にも様々な施設があって、思いのほか充実している。
中左：湯の坂久留米温泉の入り口。都会型健康ランド的な造りだが、なかなかどうして素晴らしい温泉です。
下右：懐かしかった江上先生宅の六角屋根ツインのアトリエ部分。庭には鳥獣にも振舞われる豊かな植物が。

人生丸ごと湯治日記（０６４） 20050402-3