（０６１）鉄輪温泉「陽光荘別邸」

　別府駅から再びバスに乗って鉄輪バスターミナルに戻り、ワン切りしてくれたチョコボ氏に電話をすると、もう今夜の宿は取ってくれてあるとのことだ。サカイ氏が見繕ってくれた宿は、一般客も受け入れる「入湯貸間陽光荘」という湯治宿だった。鉄輪バスセンターからいでゆ通りを下って数分のところにあるこの宿はかなり大きく、また増築につぐ増築だったからなのだろうか、内部は迷路のように入り組んでいる。しかし素泊まり３４００円で、４人でふた間続きの部屋とはかなりリーズナブルだ。朝夕の食事を所望することはできないのだが、湯治客などのために温泉蒸し用のかまどが１０個もあり、自炊しても良いという素泊まり専用の温泉宿である。

　まずは４人で町に出て、腹を膨らせるために当地の回転寿司を食べた。値段が少し張る関サバと関アジも食べてみたが美味かった。その後スーパーマーケットで飲み食いするものを少し買い込んでから宿に戻り、温泉ぬうすの始まりである。この角部屋の傍には客がいないようで、サカイ氏・ごう氏・チョコボ氏という大声３人組の談話でも周囲にさほど迷惑をかけずに済んだようだ。サカイ氏が提供してくれたビールを飲みつつのトークバトルである。もっとも私はノートパソコンに向かって今日の記録に忙しく、あまり参加できなかったのではあるけれど。ごう氏がスーパーで購入してきたポテトを、この宿の温泉蒸しかまどを使って蒸し茹でてみた。ビールの摘みに食べさせてもらったが、独特の美味しさがあった。

　

　夜の９時過ぎに、ここの宿の別館にある露天風呂と岩風呂に入ってみた。今日の昼間に入った温泉たちが特徴のあるものばかりだったから、かなり含有物の多いここの含芒硝-弱食塩泉でも、するりとして爽やかに感じられた。それでも平成１６年１０月２７日の温泉成分書によれば、１kg中に陽イオンでナトリウムイオン１１６０mg、カリウムイオン１４０．５mg、カルシウムイオン９４．５１mgなど、陰イオンでも塩化物イオン１４４６mg、硫酸イオン７４５．６mg、炭酸水素イオン１１０．７mgなど、さらにメタケイ酸３３６mgなどと成分を多量に含んでおり、ガス成分を除く溶存物質の総計が４１６５mgもある、非常にパンチのある湯なのである。源泉温度は不明だが、使用位置での温度は７２度Ｃとなっている。

　それにしても１人で出向かなくて良かった。この陽光荘別館は夜も遅いので静まり返っており、木々の中にある露天風呂ともども、ひとりで入浴するには少し怖い気もするからだ。今日はずっと入りたかった別府温泉センター、神和苑の露天風呂、いちのいで会館などに立て続けに入ったために、やはり体にどっと疲れがたまっていた。酒のせいもあり、１時過ぎにはみんなそれぞれの布団にもぐりこんで眠りの世界に移行した。

■画像キャプション
上右：お世話になった陽光荘の玄関といでゆ坂。客室２７、収容人数７０人と湯治宿ではかなり大きい方だ。
下中：左は露天風呂、中は貸し切り風呂、右が室内岩風呂だが、ほとんどは独占して使用することができる。

人生丸ごと湯治日記（０６１） 20050401-7