＜東三条の遠藤宅で大酒をくらう＞

　東三条に着いて電話をかけると、遠藤さんはすぐに迎えに来てくれた。遠藤宅は１４階のマンションの最上階にあった。旦那さんが１人、中学１年の娘さんが１人、そしてみんな違う種の違うキャラの猫が４匹。いくつかの会社を手広く経営している旦那さんが出ていらしたので、「別に怪しい者ではありませんが…と言うには余りに怪しすぎる者ですが、遠慮も臆面もなくお世話になります」と挨拶をする。旦那さんはお酒をこよなく愛していて、酒造元と契約して自分の理想の酒を創ろうとまでしていた。何事も好きなことと商売との折衷は難しいもので、最高の酒はまだ作れていないようだが、このとても楽しい人がまたものすごい酒のオタクでもあった。

　いきなり私に缶ビールを手渡すと、自室に招き入れて多数のコンピュータを見せてくれた。自宅でサーバをしているのはもちろん、自分の会社や家の中まで、全てコンピュータを改造して管理していた。私のノートパソコンがウィンドウズＭＥなのを見て、「ぜひＸＰにアップグレードしたほうがいいですよ、私のところでは去年の中旬に入れてから、まだ１度もダウンしていないんです」としきりに勧めてくれた。

　遠藤さんの渾身の手料理と寿司をいただきながら旦那さんと酒を飲み交わしていると、その酒量が半端ではなく増えていく。４匹の猫が順番に、私を襖越しにチェックしに来る。本棚にはめったに見られない面白そうなものがずらりと並んでいる。話題は止めどなく転がって行き、やがて気がつけば夜半をとうに回っていた。

　自分でもろれつが回らないのに気づき、相当酔っているということに気がついた。そこで用意してもらった床に就こうとすると、旦那さんが「せっかく沸いているのだから、お風呂に入って温まってから寝た方がいいですよ」と勧めてくれる。酒を飲んでの入浴が余り体に良くないことなどはころりと忘れて、私はそうですねと言われるままにお風呂に入った。

　何となく肌寒いような気がして目を覚ます。ぼやけた記憶を辿って今の自分を思い出すと、人の家のお風呂の中で酔っ払ったまま眠っていたことに気がついた。「ああ、やってもうた」などと言いながら、体を拭いて外にでると、皆さんとうに眠っていた。午前４時過ぎだった。頭はすっきりしていたが、とりあえず床に潜り込んでまた眠りに落ちた。まさに泥のような深い眠りだった。

画像解説／上：左の３匹がマンション１４階の遠藤宅に生息する４匹の猫のうちの３匹。残りの１匹はカメラを向けると
　　　　　遁走したので画像はなし。変わりに急遽、月岡温泉の旅館入り口にいた猫をエントリー（右端）。

とらまろじゃぱん音線記５−１４（２００２０１２７−７）

------------------------------------------------------