 インターネットで掛け流しの日帰り温泉を検索していて、これは良さそうだという施設を見つけた。善は急げ、快も急げということで、早速車に乗ってチェックに走った。所在地は三重県四日市市の波木温泉、施設名は「天然温泉ジャブ」である。この名前がベタな温泉施設は四日市の市街地から少し外れた静かな地にあり、外観はどこにでもあるスーパー銭湯的な施設だ。料金は大人が９００円なのだが、昼間割引ということで６００円だった。６時を過ぎたら安くなるというのが普通だと思っていたので、この割引には驚いた。
入館後にまずは諸施設をチェックしてみる。２階には有料マッサージ室の他に広い休憩室があり、そこには多数の有料マッサージ機も並んでいた。食堂はきれいでイスとテーブルの席以外にも畳敷きの席があって嬉しい。さらにアスレチックジムの他にカラオケルームやゲームコーナーもある。まだ昼下がりなので客は近所の中高年の人が少しだけ。お風呂はというと、本当に掛け流しなのだろうかと思うほど、内風呂には湯が注ぎ込まれている。そこに飲湯用のカップがなければ信じがたいほど無造作にである。内風呂は熱湯とぬる湯のほかに低周波電気風呂、そしてサウナと水風呂もある。
 少し広い外庭には岩で囲った露天風呂と、温度のぬるい子供用の温水プール、そして打たせ湯があった。露天風呂は湯船の底の何箇所かから気泡と共に湯が出てきている。湯船の縁からは贅沢にもお湯がどんどん流れ出している。やや黄色みを帯びてわずかにぬめり気のある湯の中を、かなりたくさんの湯の花が舞っている。ここの泉質はアルカリ性単純高温泉だが、湧出量が県下随一の１日１０８０トンという謳い文句がすごい。単純計算してみても毎分７５０リットルだ。なお昭和６２年８月３０日、地下１２５０メートルから初湧出と書いてあるから掘削であろうが、それにしても湯船から流れ出すお湯をそのまま捨てているのが目に見える贅沢さ…。
源泉温度は湧出口で５３度Ｃで、ここのＨＰのＵＲＬにも５３という数字が入っている。湯質も決して悪くない。ここで謳っている効用は神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、冷え性、リュウマチ性疾患などだが、その他特に新陳代謝に効果があって、「美人の湯」とも呼ばれている。美肌効果だけでなく、メタケイ酸やメタホウ酸の力で美白効果もあるらしい。確かに肌触りがすべすべする。露天風呂の湯の中に顎までつかって横たわると、湯面上を蛇の群れのようにのたうつ湯煙を風が吹き散らし、その向こうの高い竹垣越しに雲がぐいぐいと流れていく。それにしても先日の片岡温泉といい、三重県にはこのような良質な日帰り温泉が多数あるらしい。侮りがたし三重、である。今後もチェックを怠ることはできない。
画像のキャプション
右上：右上：看板や入り口は固めのアート系だが、中身はゆったりすべすべ和み系。６００円は安いと思う。
左中：画像の見た目より広い内風呂。近代的スーパー銭湯のようにきれいだが、掛け値なしの掛け流し。
右下：掛け流しの露天風呂の中に入っ水面を撮った画像。この直後デジカメもまた一風呂浴びるはめに…。
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▼余話▼
露天風呂の中でゆっくり伸びていると、窓越しの脱衣所に数人の客が新たに入ってきたのが見えた。「おっと、客が増える前に露天風呂の画像を撮っておかねば」と思い、タオルと共に岩の上に置いておいたデジカメに手を伸ばした。しかしつるりと滑ってすぽんと湯の中に落ちた。えっ？一瞬あぜんとした。しかしすぐに気を取り直して拾い上げる。タオルでふき取ってスイッチを入れてみたが動かない。中を開けてみた。水に濡れている。あわわ…。せっかくの掛け流しの中でデジカメが終わってしまった。いや、掛け流しでなくても同じか。とほほである。だからこの日に撮った画像は少ない。しかし気を取り直し、とりあえずメモリーカードを抜いてふ水をき取ってから、なにはともあれ温泉を味わうことにした。
後日、デジカメを解体して自然乾燥させること２日。本体も画像も見事に回復した。このページの画像もこの時お湯の洗礼を受けたものである。現今は防水デジカメも存在するが、そうでない機種はＩＣチップやメモリーカードが水にどっぷり濡れてしまえばもうダメだと思うのだが、そうではなかった。最近の電子機器は頑強である。先日も２トン車のタイヤに踏まれてかなりゆがんでしまったメモリースティックを、無理やりＵＳＢポートに差し込んだらまだ生きていた。一昔前のロボットアニメで、ぼろぼろになりながら人間の精神力でかろうじて動く場面などを彷彿とさせられた。恐るべし最近の電子機器！である。
テラバイト日記（２２２）20031208
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