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　最終日の朝、全員でいつものように食堂で朝食を取った後、寝起きした「夏の棟」に戻ると、コーセン氏が夕べから一部は朝まで続いていたらしい飲み会の会場になっていた広い板の間を、ひとりもくもくとモップ拭きしていた。今朝まで飲み会に付き合って小一時間しか眠っていないと後で聞いたのだが、目もはしょぼしょぼとして眠そうなまま掃除していた。主催者の長が誰も見ていないところでカッコつけするわけでもなく、当たり前のこととして自然に掃除をしている姿を見て、これだけでもこの合宿やレクチャーの基本姿勢が好ましいものであることは確認できるだろう。もちろん参加した人たちも最後の日に行われる全員参加の掃除を、いやな顔も見せずにきちんとやっていた。

　類は友を呼ぶとは古くから言われているけれど、この類は自らを失うことなく探求しつつも、全体とのバランスや人間としての常識をしっかり踏まえていて、とても好感が持てて尊敬できる人たちである。最初は距離を置いていた施設側の人たちも、最後には向こうから話かけてくれるほどに接し方が変わってきていた。最初は怪しげな宗教団体か何かのように不審がられていたのかも知れないが、みんな明るく挨拶をしたり、約束事はきちんと守って生活しているので、評価し直してくれたのだろう。

　この施設の利用した部分の掃除をきちんと済まし、最後に玄関前で集合写真を何枚もデジカメで撮ってから解散となる。ほとんどの人は三島駅行きのチャーターバスに乗り込んだが、私はちゃっかりスタッフチームの車に便乗して、奥湯本の「天山」という日帰り温泉施設に同行させてもらうことした。スタッフの人たちの参加者が余計な気を使わなくよいようにと様々なところで発揮しているホスピタリティには本当に頭が下がる。企画者やスタッフの全員が、金や名誉のためなどでなく、これ以上の面白いことはないという姿勢で未来を見据えながら行動しているという印象を受ける。その冗談のひとつからすら自己満足や狂信の行動でない明朗さや賢明さが見て取れるのである。

　国道１号線を通って箱根峠を越える途中にあったコンビニ・ファミリーマートに立ち寄った時、何気なく見ていた商品棚に斜方切頭８面体(小菱形立方８面体…RHOMBICUBOCTAHEDRON、点２４、辺４８)という立体があった。いわゆる正方形１８枚と正３角形８枚からなるアルキメデス立体で、正６面体－正８面体の系の面数＋点数＋線数の２６がみな面になっている立体である。私は商品の中身には目くれず、とりあえず１個購入してその構造を調べて見ることにした。正８角柱状の透明なプラスティック素材を折り、正３角形部分を畳み込んで成形されているこのパッケージデザインは秀逸だと思うが、この企画を通した人の勇気も感謝と共に称えたいと思う。

　ちなみにこの商品はサンリオのコレクションキューブ「ビニールドール」というもので、「キュート巾着」というものもあった。値段は３００円。地方限定なのか、季節限定なのか、それともあのお店限定なのかを知るために、後日他のファミリーマートを何店か覗いたのだが、名古屋方面では置いてあるところもないところもあった。少なくとも全国に今はでまわっているようだ。この立体そのものが２６面あるということだけでも、原子番号２６の鉄や、１３の双方向性（正６面体、正８面体の系の回転対称軸１３の双方向などとの関係をそのままプロットできそうなモデルとして、もっと研究する余地がある立体なのだから。個人的にはプラトン立体に留まらず他のアルキメデス立体も含めて、今後より詳しく細部をスキャンしていく必要があるだろう。

画像のキャプション
上右：玄関前での集合記念撮影にばらりばらと集まりくる人たち。ガクチョーは率先して座り込む。
中左：帰りのチャーターバス。路線バスより高めの値段だが、途中の４０分歩行を考えたら楽です。
下右：いわゆる斜方切頭８面体。こんな形のパッケージが３００円の商品に使われているとは凄い。

テラバイト日記（１９１）20030915-1