127bite

　少しずつ後ろに押していたスケジュールもどうにか時間通り収まり、最後にナビゲーターとコーセン氏による座談会とまとめが別室で開かれた。私は疲れて頭がぼうっとしていて、ほとんど何もしゃべれなかった。そしてその後はみんなと合流して最後のヌースカフェである。ここでも話の場からこぼれている人がいないか、不手際や行き届かない点はないかと気を配りながら、熱心に質問に答えつつ話を展開するコーセン氏の姿があった。そして最後まで裏方に徹して動き回っていたスタッフ陣。それらに守られているこの場の空気は様々な会話が交差しつつも、一種独特な寛ぎと安らぎの色を帯びていた。

　私はというと、今日も１日睡魔と闘ってエネルギーを消耗したまま、アルコール摂取で自分のものではないような朦朧とした頭と身体を引きずりながら、色々な人と話をさせてもらった。押しが強い人、控えめな人、直感的に話を理解できる人、論理的に流れをトレースする人、ボケとツッコミが絶妙な人、とにかく明るい人…。総じてみんな肯定的で友好的、好奇心と向学心が枯れておらず、他者を疑うより信頼するタイプだ。そんな人たちが集まると、その共有空間はエネルギッシュでしかも居心地が良い。

　そして私はまた思うのだ。２年前に参加したヌース合宿の時は、今回の参加時にこのような立場と状況でいるであろうとは想像もできなかった。その時だけでいっぱいいっぱいだったのだ。しかしとりあえずポジティブではあろうとはしていたけれど。同様に１年後２年後の自分や周囲の人たちがどうなっているか想像しても、し切れるものではない。願わくば最善の想像のそのさらに向こうに、自分たちみんながいられますように。

　２０世紀は次の世紀について想像しても仕切れなかったし、２００２年の韓日共同開催のワールドカップの後は日本もひっくり返って別の世界になっているだろうと真剣に思っていた。しかしそれはすでにこの今であり、実際に当時から見ればすでにひっくり返っているのみならず、一部はもうすでに過去ですらある。未来とはこの今だ。２０１３年とは他ならぬこの瞬間でもあるのだ。個人的にはいつも楽しい能天気な２０１３年である。

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　上右図及び下左図：上右図及び下左図：共にヌースカフェの１コマ。夜中の話題は尋常ではない世界のこと？

（１２７）20020915-2