098bite

　ティピでのメタトロンレクチャー初日が終わり、本部のあるブースゾーンに戻って来ると、ステージの上から賑やかな曲が鳴り響き、その前で多くの人がリズムに合わせて踊り騒いでいる。夕刻になったので、白川さんやカムトさんや加茂さんは車で帰って行った。山の斜面では、大音量が少し迷惑そうな羊や馬や牛がゆっくり草を食んでいる。

　それをぼーっと眺めながら１３の月の暦ブースの店番をしていると、BeGood Cafe大阪で話をした時に私が着ていたイルカのＴシャツを覚えていてくれた女性が声をかけてくれたり、去年の夏に甲田氏たちと初めて静岡を訪れた時、来未さんと共に光明山や平八稲荷を案内してくれた清子さんが、以前にも増して若々しく元気そうな様子で立ち寄ってくれたりして、ここがちょっとした人間交差点になっていた。

　７時過ぎ、暗くなり始めたので素早く店の撤収をしてから富田さんの車で山を降りて買出しに出かける。しかしコンビニエンスストアーがなかなか見当たらない。どうにか見つけ出してテントに戻る頃にはもう日は暮れて、足元を照らす懐中電灯が必要な暗さになっていた。懐中電灯のありかを忘れてしまい、それを探すのに懐中電灯が必要だというパラドキシカルな状況だ。ライトは結局テントの中にあった。

　暗いテントの中ではやることもなく、横になって動物のようにじっとしていると、近所のテントから色々な音が聞こえてくる。酒盛りの音、子供達の嬌声。そして外の草間からは虫の声。暑かった日中の残暑を冷やすかのように時々パラパラと雨が落ちてきてテントの屋根を叩き、わずかに清涼感を演出してくれる。…そしてようやく、私はまた久しぶりに考えることができる。私はなぜ今、ここにいるのだろう？なぜこの地でこの時代に生きてみようと決めたのだったか。空を見上げれば薄曇りで星も見えない。足元を見ても闇で草木も定かでない。…さて、とりあえずあくびのひとつでも。

<画像キャプション>　上図：ステージ前で音楽とリズムに合わせて踊る人たち。この中に入るか外に居残るか、
　　　　　　　　　　　　　　はたまた内も外もなく生きていけるのか。

テラバイト日記（９８）20020804-3