(063)一歩前進のために何歩も後退しがちな現実で

 総重量1.3kgという軽さとボディの薄さが気に入り、おまけに元々64MBのメモリーに128MBのメモリーも無料で付いてくると言うので、新しいノートパソコンを購入した。これにH"(エッジ)カードをPCカードスロットに装着して、いつでもどこでもインターネット&電子メールが可能という環境を設定することにした。そこで同じ電気店で32Kパケット通信ながらつなぎ放題OKのH"カードを購入し、KDDIとも契約を済ました。これで後は私が自分で本体にその設定を確定させれば、以前からの懸案だったアクティブホームレス仕様の環境となるわけだ。

 さてこのPCのフロッピーディスクドライブやCDドライブはUBS接続による外付けになっている。まずこのH"カードが使えるようにするためには、その設定CDをCDドライブで読み込ませなくてはらない。幸い私は最近UBS端子のCD−R/Wを購入していたので、それを使って認識させればよい。しかしこのCD−R/Wそのものをこのノートパソコンに認識させるには、フロッピーディスクにある設定を読み込ませる必要があった。そこで仕方なく別の電気店に出かけ、UBS端子のフロッピーディスクドライブを購入してくることになった。

 そしてようやくそれを使ってCD−R/WをPCに認識させ、そのCD−R/WでH"カードの設定をすることができた。しかしその後にパソコンをマニュアルに基づいて環境設定した後、何度そのカードを用いてインターネットにアクセスしようとしてもつながらなかった。何度も試行錯誤を繰り返した後、カードを使わずラインでアクセスしてH"カードのHPやPCを製作した会社のHP、そして私が契約しているプロバイダーであるニフティHPのH"カードに関する部分などを調べた結果、ニフティにはニフティのつなぎっぱなしOKの32Kパケット通信専用の電話回線があることを知った。

 言われてみればそれは当然なのだが、その電話番号を知らなければ永久にH"カードを使えなかったことになる。もちろん電気店に泣きつけば教えてくれただろうが、今回の話の眼目はパソコンの設定が分かりにくいという話ではない。現実生活の中でもこのようにひとつのことをちゃんと実現するためには、その前提問題の解決が先ず必要となり、その問題解決にはさらに別の作業が不可欠であると分かったりすることが少なからずある。最初の目的達成のためにどんどん問題が横にずれて行ったり、未来を引き寄せるためには、その妨げとなっている原因を解決するために、実際は意識が過去に過去にと遡って行かねばならないことが多すぎる。

 本当はそうではないはずなのに、私たちの現実生活のほとんどはそのように原因を変えたり整理したりすることに割かれているのではないだろうか。つまり未来志向ではなく、過去の変革と保全という後ろ向きの意識のまま日常生活を送りがちではないだろうかということだ。そして問題をどんどん増やしていってしまい、その解放のヒントになるかも知れない情報がこれまたはちきれんばかりに身辺に浮遊している。

 本当は軽いノートパソコンを使ってフットワークを軽くして、一体何がしたかったのだろうか。ひとり総合大学とも言えるHPの構築。細やかなで迅速な電子メールなどによる有意義な情報交換と情緒共有。生命圏ライフスフィアから叡智圏ヌースフィアへと地球が反転していくためには、このさまざまな電子機器や飛び交う情報でもある技術圏テクノスフィアをその支点・触媒として用いはするが、この簡単・便利な諸々のハート&ソフト自体も、いずれいらなくなるために用いているという事実を、私自身の中でも再認識しなくてはならないだろう。そしてまたひとりよがりの王国のたった一人の国民にならないためにも。

 それにしても現実に用いてみると、便利になればなるほど自分自身のオリジナリティというもの、そして他者との知性の共有及び情緒の共感というものの必要性が大きくなっていく。決してそのテクノスフィアに飲み込まれ、バーチャルなところに自らの未来や生命ベクトルを向けないようにと自戒していかねばならないだろう。…さてではこの文章をH"カードを使ってアップロードするとしようか。

)画像のキャプション
右上:UBS接続のスロット周辺とH"カード。パットによるカーソル操作は苦手なので、ミニマウスを使っているが、UBS接続が左側なので右手側ではちょっとだけ使いにくい。
右下:直交3軸に合わせた合わせ鏡の真ん中に、トーラス状の髪縛りを1本斜めに立て掛けると、自分の視線方向にも4番目の軸があることが分かる対称性立体ができる。(BOBの「水の鏡」の概念を遊んでみよう)

テラバイト日記(63)20011230

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