20010713 今日もまた平日だから、早朝の東海道線は込み合っている。戸塚では降りる人がほとんどないまま、横浜・東京方面に向かう通勤客がどっと乗りこんでくる。必然的に車内では見ず知らずの者同士で体が触れ合い、くっつきあう。自分より体温の低い人は、自分にとって不快ではない。しかし自分より高い体温の人と背中がぴったりくっついてしまうような状況に陥った時は、なにかやり場のない理不尽さを勝手ながら感じてしまう。
しかしこれが逆の立場だと想像すると、自分より体温の低い人にとっては自分はうっとおしい存在となり、逆に自分より体温が高い人にとっては、自分との接触が不快でないということだ。どちらにしてもひとりきりでは体験できない現実ではある。自分自身をくすぐってもつねってもあまり感じないが、他者につねられたり愛撫されたりすれば感覚器官は鋭敏に反応する。他者の存在、物質的な肉体を持つ他者の存在。そして自分自身の肉体というものの、かけがえのない現実的存在性。
さて東国寺。四方をビルに囲まれた炎天下の墓地。コンクリートの地面に対してほぼ真上からの日差しに晒されながら、線香の灰を掃除したり大地の上の落ち葉やごみを掃き清めたりするのだが、この気を失うほどの暑さ。直射日光に晒され続けると、干からびてしまうような気がする。墓地で掃除しながら倒れてしまい、帰らぬ人となってしまってはシャレにはならない。揮発性の理性はどんどん蒸発していって戻らず、思考をなくさないように引き止めるのに努力が必要になってくる。それでも夕刻近くに水を打つと、空気は少しひんやりとする。…水の不思議さ、水の愛。
暑さが急速に私の体力を消耗させることを、刻一刻体感する。体温に近いかそれ以上の大気の中を、ぬるぬるとゆっくり進むような感覚。今日の１日限定の相方は、無理やりお願いしたＮさん。普段は冷房が寒いほど効いているオフィスの中で仕事をしているのだから、この暑さの中で掃除やお茶出しなどをやらされて、体力消耗しないはずがない。私自身の体力ゲージももはやエンプティであり、ほとんどなにも残っていない。
それでも終了後に思い足を引きずりながら、明日のＢＯＢ＆SEAMANさんの出版記念パーティの打ち合わせのために、飯田橋の益山さん宅に向かう。ＢＯＢは相変わらずイイ奴だった。彼の製作した直交３軸に沿った３枚のあわせ鏡に対して、１辺１の立方体の立体対角線√３方向からそれをのぞきこんで回転させれば、想像していないユニークな動きをするという。それにしても私はこの３枚のあわせ鏡に関して、インターネット以前のパソコン通信上で「プリズマティカ」という作品でとうに言及しているのだけれどなあ。詩だから説得力ないのかなあ。疲れ果てて終電間際に帰る。この疲れはかなりヤバい。
http://homepage1.nifty.com/metatron/zone-9/poetry/prismatica.htm
テラバイト日記（０３８）
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