016bitex

20010401-3
　　いつでも止められると言う気軽さと、月に２～３日という忘れかけた頃にある寺掃除という頃合、そしてお彼岸とお盆には１週間ほどの連続バイト。そうこうしているうちにそれなりに信頼されてしまい、お手伝いさんは見つかったのだが、たまには来てくれと言われていた。強く辞めようと思う動機も見当たらない。途中、居候モードを止めて神奈川の藤沢に引っ込む時がチャンスだったのだが、月に２～３日くらい都心に出るのもいいかも知れないなどと考え、辞める頃合いを見計らっているうちに現在に至るのである。

　さてその後の愛ちゃんだが、海外へ行くための資金稼ぎにいろいろなバイトをしていた。中には美術クラブの絵のモデルの仕事などもあったが、彼女はやりたいことをしっかり持った意志の固い娘だった。その後もバイトをこなし続けた彼女は、３年前の秋に日本を出発し、東南アジアから入ってはるばる内陸を通って、やがてインドのプーナに到達した。

　そこにはバグワン・シュリ・ラジーニシ（故人）が作ったアシュラム（学校とコミューン）があった。彼女は別にラジーニシに心酔しているわけでもないが、その町の一角にアパートを借りると歌と踊りの勉強に専念し始めた。面白いことがあるとそこを中心にアジアをあちこち動き回る。グルジェフのワークをしている集団があると聞けばチェックに行き、人智学協会系のセミナーがあれば覗きに行くというように。そして行ったきりの鉄砲玉で未だに帰ってこないのである。

　いや正確にはビザの書き換えのためとかで、１度だけ幾日かは帰国していた。連絡があったので会ってみたのだが、もうめっきり世界視野の人だった。何も変わっていないのに、全てが変わってしまっていた。アーユルベーダの原点と音楽理論の話では盛り上がったが、数日後には飛ぶように帰って行ってしまった。

　そもそも彼女と最初に会ったのは、今はもうない世田谷区は洗足にあったヒーリングハウスのパーティーでだった。そこのハウスは本田夫妻が主催していて、日々の様々なヒーリングとは別に、私のドリームスペルとマヤの話や、ブラトン立体と多面体の話や、数と暦の不思議な美しさの話などをパーティー形式でさせてくれていた。本田夫妻はその後、神奈川の三浦三崎、そして長野の大町と居を変えて行くのだが、それはまた別のところでの話となるだろう。

愛ちゃんは落ち着いていたので大学生だと言われなければ、２７～２８歳にも見えた。そして年上であろうと「キミは…」とタメ口きくのが嫌味でなく面白かった。私は別に恋愛感情を持たなかったが、多分多くの男性にもてていたようである。言い遅れたが、彼女はかなりの別嬪さんだった。そして今ははるか異国の空の下だ。今でもたまにはｅ－メールがくるが、はてこの今現在どこで何をしていることやら…。おかげで今でも私はこうやって、相も変わらずにこの寺の床を磨いているのだが。　

テラバイト日記（０１６）