（００１）テラバイト日記の背景

20010316
　この度のテラバイトの舞台は東京は台東区浅草にある、小さな禅寺「東国寺」（仮称。しかし現存する同名の寺と関係があるかどうかは確認されていない）である。浅草には宗派を問わず寺が多い。これはその昔、敵の侵略を防御・混乱させるという戦略的目的で、多数の寺社を一箇所に集め、道を複雑に錯綜させて配置させた結果だという。さて禅宗には大きく２つの系譜がある。いわゆる栄西が始めた臨済宗と、道元が開祖である曹洞宗だ。

　この禅寺｢東国寺｣はそのうちの後者だが、テラバイトをする者に取ってはその違いや、他宗との差異などはほとんど問題ではない｡宗派云々よりも、根本的に宗教心そのものがないからだ。(※なお右図は浅草の浅草寺であり、東国寺ではない）

　さて２１世紀最初のお彼岸は３月１７日から２３日までの１週間である。しかしどの寺でも同じだと思うが、東国寺でもこの１週間のための準備をするために、前日の１６日からテラバイトはスタートする。今回は前回にテラバイトの相方を務めてくれたライターの岡本順子氏（実名報道）が本業多忙のために手伝いが出来なくなったので、急遽インターネット上の某一部有名の掲示板で募集することになった。

　ダメモト的態度に反して、少なからずの方が応募してくださり、かえってその中から選択させていただくのが心苦しかったが、最終的に名古屋在住の若干１８歳の八神少年（未成年につき匿名表記。八神は掲示板における怪しいハンドルネームである）にお願いすることになった。彼は名古屋ヌースという謎のレクチャーに今年になって初めて母親と共に参加し、少なからずの興味をその謎のレクチャーをするハンダコーセンという人物及びその主催するヌース・アカデメイアなるオンライン上の仮想学術集団に興味を持ったと伝聞されている｡しかし正確にいえば、そこに参加している人たちのすこし変わったキャラクターに魅せられたというべきであろうか。

　実は彼、八神少年はこの春休みに母親方の実家である小田原に遊行し、東京方面なぞを探索しようともくろんでいたらしく、これ幸いとテラバイトに応じてくれたのである。いきなり未知のバイトというのも危なっかしいので、ガイダンスをかねて１３日に神奈川県藤沢市にある江ノ島という湘南のちょっとしたスポットにでミーティングをすることにした。江ノ島は知るひとぞ知る、霊峰富士まで通じているといわれている龍穴のある、ちょっとしたポイントであり、島全体が神社とも言えるような構造をしている。

　さて八神少年だが、あらかじめ友人知人にいわれていたように、落ち着いていてとても１８歳とは思えない人物ではあったが、言動明晰、音声高らかなるキャラクターであった。彼のあまり体験した者は少ないであろう闘病体験などは機会があったらリークするとして、まずはテラバイトに戻ろう｡

　東国寺そのものも、先代の住職が６年前に急死してから、この寺も存続や住職後任や檀家一同との諸々の確執などがあって一時代混乱に陥ったらしいが、そのことに関してはよく分からない。現在は1近くある同門の禅寺から花井住職が派遣されているが、住職という名前は実際には正しくない。法事や寺の行事の時に来ていただき、平時は別のお勤めごとをなさっているようである。そしてその代わりに日々の寺の業務や管理は、先代住職の奥さんが掌握しているのである。したがってテラバイトとは彼女の元での寺の庶務のアシストのことであるというのがより正確だろう。

テラバイト日記（００１）