3行日記 2002 WIND48


   ■不可抗力の半歩横 20021014

列車の前列の席に老人が坐る。整髪剤臭が混ざった老人臭が流れて来る。臭いは
直接なので暴力的と感じて、それに対して条件反射的な怒りの感情が頭をもたげ
る。しかし席を一つずらしただけで不快感は消え、長寿を祈る余裕も生まれた。

   ■パソコンスピード 20021018

遅い。とにかく遅い。パソコンの諸機能の処理速度のことだ。とてつもないスピ
ードで演算処理していることは知っているが、それでも人間はそのアウトプット
スピードに慣れ、さらなる速度を求める。どこまでも速く思考速度を超光速に。

   ■無意識を美しく思う意識 20021024-1

一生懸命生きている姿が美しいのはなぜか。無意識の仕草やふとした語り口が心
地よいのはなぜか。作為や意識的行為が不快感を伴うのは、こちらの意識のせい
なのだろうか。作為も無作為もそれ以上のものから生じている。快不快もまた。

   ■戯言ならざる話 20021024-2

他人の戯言を聞く必要はない。自分の戯言を聞かせる必要もない。しかし他者と
自己を共に超えた戯言なら、いつ聞いても意味は残る。ましてや戯言ならざる話
ならば、聞かせて然るべきだろう。聞きたがらない者には耳を塞いでもらおう。

   ■感情爆裂を特等席で見る 20021024-3

最近よく切れる。いわゆる炎の感情失禁である。私も最近の風潮に遅れることな
くすぐに立腹し脳を沸騰させている。しかし面白いのはそんな自分の表層を全く
の他人事として見ている自分がいることだ。この2者を行き来するのは愉快だ。