■蚊を殺すのに躊躇なし　20020908-6

手桶・花刺し・水溜り…。墓は蚊の発生場所にはこと書かない。墓では油断も隙
もありゃしない。だるまさんがころんだよと言う間にもう喰われている。数箇所
刺されると、理性はもう被弾多数で沈みかけた船のように傾き、吸血虫を呪う。

　　　■蚊の存在理由は何か？　20020908-7

蚊が自分を刺す事に気が散って目の前にいる姫の話に集中できないから自分の手
足を縛ってくれと言った若い坊さんの話を読んで、不殺生極まる立派な人だと感
じた事がある。ひねくれた今は姫の気を引きたかっただけなのだろうと考える。

　　　■桃の皮、皮膚の皮　20020908-8

熟れ切った桃の皮を手で剥いていて何かに似ていると思った。日焼けして剥けた
皮を剥ぐ感触だった。日焼けの皮を剥かせてくれと頼む友人がいた。千切れずに
大きく剥け切ると狂喜してその皮膚だったものを見せる。この嗜好性は遍在か？

　　　■トランスレイター　20020908-9

相手がくれるので私も名刺を作った。もらった相手が困るので名刺に肩書きを書
く。飽き易いので肩書きがしょっちゅう変わる。今はtranslatorだ。日本語訳だ
と翻訳家だがtransするのは言語だけではない。異世界観のtrans-latorたらん。

　　　■片目の猫の安らぎ　20020909

片目が潰れて飛び出ている野良猫がいる。今年の春生まれたばかり。いかなる差
異から他の兄弟猫と違ってしまったのか。おそらく普段は虐められているのだろ
う。それでも目の前で甘える小さな生物への身の内から溢れる私の思いは何か。