(339）失神

　昨日、井の頭公園駅前にある行きつけの喫茶店「セレスティーヌ」で、突如急激な腹痛に襲われてトイレに駆け込むが、あまりの苦痛に失神してしまった。ああこの感覚は前にもあったぞ、自分は今どこにいて何をしているのか分からないという、あの意識状態。覚えている限りでは、過労を押して矢野宅で仕事明けに、パソコンのＲＰＧ「ウイザードリィ」をやっていた時と、大学時に歩いていて足を挫き、その苦痛をこらえて何とかベンチまで迫り着いた後のそれの２回が、同様の感覚だった。回りが見えなくなり、気を失うまいとこらえつつ、自分がどこにいて何をしているのか分からないまま、意識がなくなっていたのが数秒なのか数分なのかも解らないという、現実解離のあの状態。

　確かトイレに入ろうとしていたのだがと思いつつ、額を何かにしたたか打ち付けたようだが痛みを感じないまま失神したらしく、気づくとトイレのタイルに額を押し付け、そのアングルからトイレを見ていた。慌ててドアを後ろ手に閉め、だるくて動かしにくい体をよじって、とにかく出す物を出した。びっしょり脂汗をかき、感覚のない額からはどろりと血が出ていた。

　何かが私にショックの一撃で弛んだ意識に活を入れたのではと考える事ができるなと思いながら、半ば呆けつつそのあたりの説明をマスターにした。数分気を失っていた計算になる。その後数日、額の神経がマヒして、縦の方向に手で触れると、横の方向にマヒ感と言おうか違和感が走る。それはどこか磁気的な感触だ。内出血が眉を上げられないほどのこぶとなり、額がぼこぼこになった感じ。

(340）暑い時は暑い、寒いときは寒い

　暑い時や寒い時、頭痛や疲労で辛い時に、つい弱音を条件反射的に吐いてしまう。暑い暑いだの、しんどいだのと口にした瞬間は他人にもその苦痛を分け与える事によって楽に成ったような錯覚があるが、実のところ自己催眠的にその苦痛に屈服してなお辛くなってしまうばかりか、周囲の者に不必要な不快感を撒き散らしてしまうのだ。

　辛い時はそれを意識した瞬間、弱音を吐く代りに自分自身に「頑張れ、頑張れ！」と呼び掛けてみればいい。その方がよっぽど楽になる。自己催眠的に苦痛がないように思い込ませる事もできるかも知れないが、そうではなくて事実はそのまま認め、しかもそれでもさあ頑張れと自分を元気付ける意識状態。不思議だが、そうする事により自分が我慢強くなるばかりか、能動的で肯定的になる。